Goach

黄金の馬車のGoachのレビュー・感想・評価

黄金の馬車(1953年製作の映画)
3.8
「そして生活はつづく」

ルノワール展が月末から始まるので、
彼の子息が作った名作とやらを観てみた。


舞台女優が主人公。
日常生活で自分の居所を
見つけられないけど、
舞台の中では華々しい人生を
いくつも歩んできた。

「舞台ではうまくいくのに、
日常ではうまくいかない。
真実はどこにあるの?」
と嘆き悲しむ。


虚構(夢の世界)で
生きることの激しい快楽と、
その果てに生まれる哀しさと空しさ。

ヒトラーの名言にも出てくる
「黄金の馬車」をモチーフに、
美しい劇中劇で、人間の普遍的な感情に迫る。


現実と夢の世界の狭間で生きる
彼女の姿を観て、
やるべきことから逃げて
映画を観ていた自分の姿が
ぼんやり浮かんだ。

頭の中でどんな大冒険をしても
目の前のメールに返信しなきゃいけないし、
パソコンとやらを開かないといけない。

冒頭で使用した、
とあるミュージシャンの
とあるエッセイのタイトルが
なんだかしっくりくる。

ちょっと諦めてるとこもあるけど、
それでも尚、背中を押してくれる言葉。

この作品の主人公も、
この言葉を噛み締めるかのように
大きな決断をし、
僕たちに絶妙な表情を魅せつけてくれます。


「そして生活はつづく」




うん、名作だよ。
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