黒衣の刺客のIdeonのレビュー・感想・評価

一枚絵の絵画としても美しい中国の風景がたっぷりと収められている一方、武侠映画としては明快なストーリー展開に欠けており、かなりの集中力がなければ、夢の世界に引き込まれてしまう。登場人物の内面を一切描かないこの手法が、映画として正しいのか疑問である。何度もチャンスがあるにもかかわらず、常に寸止めで殺さずに去っていくスー・チー扮する暗殺者の心情を、最後の漢文調の一言で説明するのは、あまりに観客に不親切ではなかろうか。