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おかあさんの木のcubeのネタバレレビュー・内容・結末

おかあさんの木(2015年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

特別試写会で見てきました。プロデューサーで企画者である須藤さんとフリーアナの久保純子さんのトークショーあり。

映画は戦争を題材にし、最愛の息子たちを戦地に送り出す母のせつなく、無力な思いがひしひしと伝わってくる作品。
幸せな結婚、そして7人の子供に恵まれた女性が夫の急逝を乗り越え、たくましく生きていこうとした矢先に戦争と言う歯車に翻弄され、次々に息子たちを戦地に送り出す。
狂い始めた歯車は止まることなく、息子たちは戦死していき、愛国の母と唱われながらも出征のたびに植えた苗木に生きて帰れと語る姿は涙を誘う。
木、一本一本に息子たちの名前を付けて愛おしむように水やりをする母の背中、言葉はいつどんな時代でも子を思う母の愛に溢れていた。

戦後70年。戦争を知らない私。実際にはもっと悲惨だったのかも知れない。
出征する息子にすがりつき泣く母を周りは非国民と罵り、蹴られる。そんなシーンは衝撃的でしたし、なぜそうしてはならなかったのか、悔しくてたまらない。
戦争になんかやらなきゃ良かったと最後に悔いる母。
気持ちを押し殺すように演じた母の鈴木京香さんが好演。感情を抑える演技が光っていた。

ラストはなんとか生き抜いた五番目の息子が帰って来たのに、おかえりと一番言いたかった言葉が言えず亡くなったなんとも胸が苦しくなる終わり方で、一層悲しさが募った。

ありふれた、ただいまとおかえりの言葉がこんなにも言えずにいた時代があったこと、気忘れてはならないと感じた。

個人的に主人公の夫役であった平岳大さんのファンであるが、映画冒頭の自転車シーンのアクション?には笑いが出て、またプロポーズのようなシーンの微笑ましさ、子供たちと雪合戦する無邪気なシーンがエンディングに待っているシーンとの比較になり、より現実感が増した気がした。
幸せな日々から一転…なので。
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