フィニー亜蘭

おかあさんの木のフィニー亜蘭のネタバレレビュー・内容・結末

おかあさんの木(2015年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ピンク映画出身の磯村監督作品だから期待して観た。
まず初めに【泣く映画がヒットする】【泣く映画が名作になる】というアホらしい考えを持つ製作陣の方向性を疑う。泣けばいいもんじゃないだろう。というのが、私の考え…とにかく本作品は【泣かせる】が狙いみたいだが、同じことの繰返し、徴兵検査→赤紙→出征→戦死と同じことの繰返しだけで進行していくだけだから、2回目以後は飽きてしまう。おまけに野郎ばかり7人で…その7人に魅力がないから、全然感激が湧かない。みな一律に平均的な人物像。だって学歴や働く先の場面が薄い(ないわけではない)のでインパクトとして子供達の性格や立場が不明瞭。
ましてや五男の嫁(奈良岡朋子さんが現在の老いた姿で回想するも、うまくいかされていない。現在の部分のドラマがあまりにも無意味。こういう手法のシナリオ構成にする必要性がない。そう思う)の回想だからリアリティも傍観的でイマイチ。唐突に現在の場面になったりして、テンポが崩れてしまう。それに戦争背景の緊迫さがないので、ただだだ鈴木京香が息子の死を知ってオイオイ泣くだけを繋いでいくだけで、危機感が皆無。思想犯のエピソードもとってつけた程度であり、意味を為さないもの。それに一番おかしいのは老けない鈴木京香。いくらなんでも20年以上あるんだから、老けないと。年寄を拒むなら出演しない方がマシだよ、京香さん!!
更に【湖畔の宿】のエピソードも今見る観客の中で、この曲がペシミズムが強く発禁になるも、高峰三枝子が慰問先で歌うと兵士には絶大な人気があったという事実をどれだけの人が知っていて、解るのか疑問。
姑娘が若い軍曹に贔屓する場面も、上官が許さないはずだし、それをノウノウと食べるならビンタもんだ。そういえば本作品にはビンタや喫煙、飲酒の場面が無かった気がする。兵隊に行ってビンタがないのはリアリティが感じられない。
磯村監督がしなりおも書いてるようだが、本当に書いたのか?疑うような内容、構成でビックリする。
そして何と言ってもバリオリンのヒュルルゥみたいな泣きの音をこれでもか!?と聞かせる渡辺俊幸氏の音楽が煩い。困ったもんだ。お父様の渡辺宙明氏ならどんな音を付けたか気になる。
個人的には大杉蓮、下元史朗、撮影応援に佐久間栄一さんの名前を見たのが良かった。
だが、これは男運のない不孝な女の一生を描いた、単なる雰囲気映画の駄作として今年の1ページを飾るだろう。
来年以降は観たことさえ忘れる映画になるのは必須だ。
フィニー亜蘭

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