レク

スター・ウォーズ/最後のジェダイのレクのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ズバリ言うと"脱却""払拭"が今回のテーマではないか。
各々のキャラも勿論そうではあるが、何よりもSW新旧三部作からの脱却作品とも言える。
そして最も評価する点はレイが名も出てこない両親に捨てられた子という点です。

前作「フォースの覚醒」が公開された当初から、レイの存在について様々な考察がされてきました。
そんな中で今作が出した答えは最も平凡な答えだったと思う。
そこが逆に素晴らしい点であり、今作のテーマにも合致する部分でもあります。

恐らく、レイに期待をよせる者達、レイ自身、そして鑑賞する我々に至っても、特別な力を持つヒロイン像というものが頭に過ぎっていたはずです。
ルーク・スカイウォーカーやカイロ・レンはあくまでも光か闇かの存在であり、ある種の新旧三部作を隠喩するもの。
レイは前作でハン・ソロを姿無き父親像と重ね、今作では存在するか否かも分からない両親の姿に縋るが、そこから一歩踏み出した彼女の決断とその描写は正にSWというスカイウォーカーの伝説、過去の超大作からの脱却を示唆するものだろう。


過去からの脱却、新たな一歩を踏み出す為には自分自身を見つめ直し是非を問う必要がある。
特別な存在ではなく平凡な子という立場は作中での光と闇の中立を意味する。
レイはカイロ・レンと共振するも、過去よりも今を未来を向き、彼女自身の力で未来を切り開いた。
光と闇の二極化抗争ではなく、第三者が未来を切り開くこと。
その意図するものを象徴するようにフィンやローズの姿も描かれる。

また、光の存在であった最後のジェダイことルークが暗黒面に堕ちかける描写は今作が新旧三部作からの脱却に葛藤、苦悩している姿を表してるようにも思えた。
最後のジェダイとして最期を全うし、新旧三部作と共にジェダイから第三者へと希望が紡がれた瞬間だったと思います。

今作は去年公開作「ローグ・ワン」で描かれたように、メインキャラではない一般人が奮闘する姿の美しさ、儚さ、素晴らしさを説くまでの作品には成り得なかったが、何度も言うように第三者が活躍することが続三部作の背負う重荷であり、挑戦でもあるのだろう。


一方、カイロ・レンは是非の葛藤、光と闇とを揺らぐ心模様は良かったのですが、総じて少し薄っぺらさを感じてしまう。
彼自身もレイと同様にめちゃくちゃ弱かったスノークを倒すことで光でも闇でもない存在として彼なりの信じる世界を統べるという事なのでしょうが、私怨に固執する以上ダークサイドとしてフォースを振るうこととなる。
その立場は闇とも中立とも取れない中途半端な位置付けに…。
あくまでもレジスタンスと対を成す存在であって欲しい。

それから、レイと対を成す存在として描くとすれば、レイが芯を持つ平凡な子とするならカイロ・レンは拗らせた平凡な子になっちゃうし、レイが光とするならカイロ・レンの闇にそこまで深さを感じない。
フォースの定義が成された以上、光と闇が同時に存在するように、バランスとして双方の対比というものをしっかりと描いて欲しかったというのが本音。
カイロ・レンの純粋な故に揺れ動く心と存在意義は次作への伏線であることを願うばかりです。

今作の主要キャラについて簡単に書き出してみましたが、もう一度じっくりと観る必要がありそうです。
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