Yusuke

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明けのYusukeのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

まず一番最初、パルパティーンが生きていた事やレジスタンスとファーストオーダーがそれに感づいた事がオープニングロールで明かされたのは上手いなと思いました。旧作もそうだったと言えばそうでしたが、ここまで重大な事実が文字で済まされてもすんなり受け入れられるのはこのシリーズのテンポの良さに貢献するいい点だと思います。(欠点という人もいそうだしその気持ちも分かる)

しかし序盤の展開の速さは流石に付いていくのが大変でした。パルパティーンの居場所を示す地図や短剣など、都合のいいアイテムが登場するにも関わらずあそこまで速攻で進まれるとちょっと安っぽさを感じないでも無かったですが、異なる監督の前作を限られた時間で収束させるには仕方なかったかなとも思います。三角の地図石?をカイロレンが手に入れるシーンはあまりにも急すぎてインディジョーンズかと思いました。あとだいぶ個人的ですが、暗黒面のレイが最後に一瞬レイに向かって牙を剥く?シーンがあって、ルークがヴェイダーのマスクを被った自分と戦うシーンと重ねるための演出というのは分かったんですが、無言で粛々と向かってくる威圧感が暗黒面の怖さであって、わかりやすくシャー!とか言わない気がします。
あとフォースが前作から急に便利すぎる。あんまりフォースの可能性を広げすぎると今後のストーリー構成に影響でそうとか余計な脚本の心配をしてしまいました。スコアのマイナス0.5はこれが全てです。

中盤からのストーリー展開には感動しっぱなしでした。
JJエイブラムス的にはep7でep4-6を、ep9でep1-3を意識したんじゃないかと勝手に思っています。

シリアスなシーンではep3の音楽が所々用いられていて、アナキンやオビワン、ジェダイ評議会の様に慢心や恐怖によってまた暗黒面に負けるんじゃないかと自然と不安な気持ちになりました。

同時に、
暗黒面に落ちた友を見捨ててしまったオビワン・見捨てなかったレイ
大切な人を守りたい一心で暗黒面に負けたアナキン・負けなかったレイ
という、一人二役で過去のオビワン、アナキンの失敗を繰り返さずに乗り越えたレイの功績が対比で強調されていてとても印象的でした。

ただ全てワンパターンな対比ではなく、アナキンとベンは2人とも、一度堕ちた暗黒面から帰還するという同じ道をたどりました。無理やり旧作と違う結末を作ろうとして変なことになったらどうしようとも思っていましたが、ここも良かったです。

あと単純に海の上での戦いはムスタファーのマグマの中での戦いを彷彿とさせていてエモかったです。(語彙力)

前作で、最後にルークが旧作のヨーダの様にXウイングを持ち上げてくれるんじゃないか?!と期待したのにやってくれずへこんでいたので、今作でやってくれたのは本当に嬉しかったです。
2年越しだけに嬉しかったです。
ep8でそのシーンやろうとして、いや待て、最後の方がファンに効くんじゃない?とか脚本チームがやってそう。

今回の新三部作の全体を通して、個人的には
アナキン・オビワン・ジェダイ評議会・ルーク・レイア・ハンソロ、反乱軍など
「過去の人たちの後片付けを新しい世代がやり遂げる話」だったんだなという印象を受けました。

旧作にはただの勧善懲悪では済まない矛盾ややり残し、失敗があって、どのキャラクターも完璧ではなかった。その後始末がなされなかったことで新しい世代が巻き込まれ、けれど2度目の失敗はしなかった、という話に自分の中ではまとまりました。

けどそれは先人たちの最期の努力もあって...など色々思ったことは他にもありますが、とにかく、どれだけルーカスフィルムが外部から干渉を受けても、監督が入れ替わり立ち替わりでも、「家族の物語」からブレずにスターウォーズという作品が貫かれた事はとてもよかったと思います。SWファンほどSWを悪くいうやつはいないと言われているらしいですが、「これが自分のスターウォーズ」という信念をそれぞれ持ち続けた世界中のファンの目があったからこそ完結できた、スカイウォーカーサーガだと感じました。

今作のサブタイトルに関して言えば、
ルークのあきらめ、ベンの暗黒面落ちで、一度沈んでしまった「スカイウォーカー」が、ルーク、ベン、血縁がないどころかシスの一族であったレイを含めた全員の力でもう一度夜明けを迎え、レイが新しいスカイウォーカーを繋ぐ、という解釈も自然にできました。

最後のシーンでルークの育った家が登場しますが、そこは砂に埋れていて、近くの住人もしばらく人は見ていないというほどに寂れていました。
時間はどこにでも流れるもので、どんな場所でも最後は無にかえるというさみしさが表現されていると同時に、昔まだなにも知らなかった頃のルークが見ていた2つの太陽がまた同じ様に映ることで、意思だけはいつまでも残る、というメッセージが強調されていた様に感じました。

アナキンが生まれてから死ぬまでという「アナキンスカイウォーカーの一生」として完結したサーガをどう新作にこじつけるんだろう、ディズニーで大丈夫なのか、とep7が発表された時は心配に思いましたが、「スカイウォーカー家の一生」として2度目の完結が迎えられた今、新作を作ってくれて本当に良かったと思えています。

最後に、
ep6公開当時、急にこんな可愛いキャラを出されても場違いだ、とイウォークが散々叩かれたそうですが、今作でも最後に登場しました。全然違和感なかったです。長く続くシリーズに新しいものが取り込まれるのはどうしても違和感があることだと思いますが、この自分のレビューの批判意見を含め、数十年後にはまあ宇宙の果ての話だし別にいっか、となってる様な気がします。

どうかこれから先、それを逆手に取って、時代のトレンドを取り入れまくったり、世論の批判を恐れて空気を読みまくったようなつまらない平凡なSW作品が作られないといいなと思っています。
Yusuke

Yusuke