このレビューはネタバレを含みます
”想像よりも面白い”
本作の素直な感想だ。
昔ながらの”冒険"も楽しむことができたし、レジスタンスがテーマソングとともに勇しく出陣シーンも拝むことができた。
エクセゴルに向けた最後の出陣シーンや歴代ジェダイの呼びかけシーンでは、思わず涙が溢れそうにもなった。
ただ、僕がここまで”面白い”と思えたのは、アニメ作品「クローンウォーズ」を観るテンションで本作を見たからである。
前作「最後のジェダイ」の失敗や友人からの酷評から、この映画が”ひどい”ということはわかっていた。
だからこそ、クローンウォーズを観るような、ただただスターウォーズの世界に浸るためだけに、本作を観た。その結果、圧倒的な映像クオリティーの本作は、想像よりも面白かった。
しかし、新三部作の完結編としてみるのであれば、話は別である。そのように、この作品を観た場合、本作への評価は2点ほどではないだろうか。
なぜなら、さまざまな点で本作が中途半端であり、呆気なかったからである。
まず、新3部作は、なんのための作品だったのだろうか。
最後のジェダイの監督であるライアン・ジョンソンは、従来の伝統的なスターウォーズを”壊す”ことを製作の目的としていたらしいが、結局、レジスタンス対パルパティーンという旧3部作の構図がそのまま継承されたし、登場人物の多くが前部作に関係している人たちであった。
新3部作が何を求めて作成されたものであるのかが、最後まで結局わからなかった。
そして、登場人物に関してもあらゆる面で、中途半端で呆気なかった。
レイとレンの関係性、ハックス将軍の裏切り、 ローズとフィン、レイ・ポー・フィンの関係などなど様々な面において?が残りまくった。
これ以外にも、
「なぜファーストオーダーが勢力を拡大することができたのか」
「クレイト戦からレジスタンス勢力がどうなったのか」
「どのようにシスの大艦隊を創ることができたのか」
などなど、伏線を広げるだけ広げといた割に、そのほとんどを回収できず、謎のままに残された。
ここまで、いろんな問題が起こってしまったのは、新3部作が共通の哲学を持たず、
それぞれの作品がそれぞれの”完成締切日”に間に合わせるために辻褄あわせをしながら製作させたからではないだろうか。
だからこそ、新スターウォーズは、大学生が締め切り直近で慌てて作る、中身ボロボロの突貫工事レポートのような作品になってしまったと思う。
ただ、最後のジェダイでぐちゃぐちゃになった話が、本作でしっかりフィナーレとして完結させていたのは、ただただ凄かった。