emily

オチョ・アペリードス・バスコスのemilyのレビュー・感想・評価

3.5
セビージャのバルで働くラファはバスク地方出身のアマリアと恋に落ち、結婚前に別れてしまう。彼女のことはまだ忘れられないでいるが、このたびアマリアがカタルーニャ地方の男と結婚することとなり、父親と一緒にカタルーニャへ。なんとカタルーニャはスペインから独立して国になっていた?!

バスク、カタルーニャ、そうしてまったく真逆の南のアンダルシアと、スペインの中でも真ん中飛ばした北の、強く独立を望む二つの地方の対立を、結婚という幸せな結びつきに基づき、コミカルに、ブラックユーモア満載で描いている。

地方の特徴を逆手に取り、言葉の壁もコミカルなリズムにのり、実際の社会情景をしっかり見据えた描写に奥行きを感じる。ラファがどこまでも陽気で、中立に立とうとしてる姿が希望に映り、そこから展開されるラブストーリーも小ぶりながらも存在感と未来を感じさせる。

前半のドタバタ劇から枠を超えた大きな展開になりつつ、地方を超えて愛に終結し、平和に収まっていく流れが丸く形をどっていく。シンプルでわかりやすく、それでいてしっかりメッセージ性もあり、コミカルな分、批判的な描写もさらっと見れるので、違和感もさほど感じない。

ラブの後のブラックティストも逆に爽快感と人間らしさを残し、温かみをも感じさせてくれるのが、心地よい。
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