ヨルト

美女と野獣のヨルトのレビュー・感想・評価

美女と野獣(2017年製作の映画)
4.5
オープニング曲ですでに「みんなと馴染めない、とても変わっている、本を読んでは夢ばかり見ている、見た目のいい男になびかない」ベルを「わたしもこちら側の人間だ」と思って見始める。たぶん世界中の観客が「わたしもこっち側、少数派」と思って見始める。それがすでに魔法だと思う。

男の人はどう見るのかわからないけれど、わたしは途中までは完全にベルとなって父を思い、理不尽に怒り、マジックに酔って美しい部屋やドレスや料理にうっとりとし、命を助けられてから次第にビーストに心を開き、愛情で胸がいっぱいになって、大丈夫、あなたのすべてを受け入れるから…と思って見るんだけど、あのダンスのシーンでベルが両手を差し出した瞬間、突然に立場が入れ替わって、自分の中のビーストが「世間」のようなものに受け入れられたように感じて号泣した。

子どもの頃にアニメーションを見たときには、あれは「良い子でもあるわたしが他人の外見より内面を重視して受け入れてあげる物語」だと思っていたけれど、大人になって今日見た実写版では「どうしようもない不完全さを持ったわたしだけれど、(世の中に稀にいるベルのような聡明な存在には)そのままで受け入れてもらえた物語」になっていた。ああよかったと思った。
ヨルト

ヨルト