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美女と野獣のRIOのレビュー・感想・評価

美女と野獣(2017年製作の映画)
3.2
色彩豊かなコスチュームデザインと美しい映像表現、エマワトソンの演技力。

良いところは…そのくらい。

ティーカップやキャンドルに顔があって、すらすら喋る様は、正直不気味としか思えないし、
悪役の演技もアニメっぽすぎ。
現実であんなやついたら普通に引くわ。

アニメーションのファンタジーな世界観だから通用していたものを、丸々そのまま現実世界にもってきたら、そりゃあ違和感が生まれちゃうでしょ。

「ライオンキング」の実写版が悪い例。
動物が歌って踊るのもアニメーションの世界観だから楽しく観れてたのに、
それを現実のリアルすぎる動物でやられても、違和感でしかない。

アニメーションの世界で使えるマジックが、現実の世界ですべて使えるわけないんだから、リアリティを見極めて上手く対応させないと。

「魔法にかけられて」とかは、アニメーションの世界と現実の世界を行き来する話で、現実で通用しないこと自体をギャグにしてたから、すごい上手いなって思ったけど、

今作の場合、オリジナル版の世界観をそっくりそのまま実写化しちゃってる。

それが、リアリティのことだけならまだ許せるけど、それ以外もまるっきり一緒なのが、ただただ驚き。

キャラクター、ストーリー、展開、舞台配置、セットデザイン、何から何までそのまま実写化。

それが悪いとは言わないけど、せっかくリメイクするのなら、なにかしら実写ならではの新しい要素とかも入れてほしかったというのが、正直なところ。

オリジナル版のトーンと本質を無視して、まったくの別物を作るダメダメなリメイクは嫌いだけど、ただオリジナル版の要素だけを実写化する、新鮮味のかけらもないファンに媚びた”中途半端”なリメイクは、もっと嫌いだ。

それってリメイクする意味あるの?
って聞きたくなるし、
焼き直しだとしか思えないのは、
僕だけなのだろうか?

悪いことしてたの王子なのに関係ない家臣たちも家具にされるのは、
いやなんでだよ!って思っちゃうし、
花をほんの少しちぎっただけで一生死ぬまで幽閉されるのは、
いくらなんでも可哀想すぎるだろ。

自分の命に関わってるから大切なのは分かるけど、何も知らなかったおじいさんからしたら、迷惑でしかないよね。
そんなに嫌なら注意看板でも立てとけよ。

“愛するのに見た目は関係ない”っていうのがテーマなはずなのに、魔法が解けた野獣の顔はまさかの”イケメン”😩

いや、散々見た目じゃないとか言ってたくせに、結局顔なんかい!!💢

まあ、そんな感じで、微妙なところがたくさんあるから、俺はそもそもオリジナル版が全然好きじゃないです。

だから、リメイクするのなら今挙げた微妙な点を少しでも変えてほしかったのに…

「ジャングル・ブック」や「シンデレラ」とかは、オリジナル版の微妙なところに変更を加えて上手く実写に対応させてたから、いくらでも上手いこと変えれたはずなのにな。

良い材料から組み上がったものを、自由にやりたいように変えれるのが、
リメイクの特権だと思うから、

オリジナル版のトーンとテーマの本質を守りつつ、新鮮な要素を上手くミックスさせるのが、良いリメイクの作り方だと思ってるし、

普通のリメイクでも、実写化リメイクでも、それは同じです。

「ゴーストバスターズ」とか、
「ロボコップ」とか、
「メンインブラック」とか、

絶対に変えちゃいけない本質をやりたい放題に変えまくって、オリジナル版の質を低くするような、ブランド名を借りただけのリメイクが増えてる中で、

オリジナル版を忠実に実写化した今作は、ファンにとっては好きになれる作品なんだろうけど、
僕にとっては、無難な手段を取った、中途半端でつまんないリメイク作品でしかないです。
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