月

美女と野獣の月のレビュー・感想・評価

美女と野獣(2017年製作の映画)
3.5
アナ雪2以来に劇場でディズニー観たけど、やっぱこの世界観大好きなんよなぁ。いつ練習したんだよっていう唐突のミュージカルが毎回楽しい。

ただ、ストーリー面でツッコミどころが多いのは否めない。
"人と違う"ことは悪いことではない、というメッセージなのに、"人と違う"ことが呪い、つまり克服すべきものとして表象されているのがややモヤモヤ。
また、外見の美醜を超えた愛がテーマであるはずなのに、結末では結局美男美女の「理想的」なカップル誕生というハッピーエンド。"進歩的"な価値観を持つために変わり者とされていたベルが、最終的にその構図に組み込まれているのがもはや一種のアイロニーのようにすら思えてしまう。

今作では、王子は呪いという形で後天的に"人と違う"状態にされる。だが現実では、"人と違う"ことで悩む人の多くが先天的な「呪い」で苦悩しているのではないだろうか。前者は見事解除することが出来たが、後者の克服はそう簡単ではないはず。というより、そもそも克服が必要であるという主張も受け入れがたい。だとすれば、先述したように"人と違う"ことを呪いとして表象するこの構図は、素直に評価するのを躊躇ってしまう。

全体的に、作品のメッセージと展開がやや矛盾しているような印象を受けてしまった。また、作品自体の雰囲気や世界観が豪華絢爛で楽しいものとなっているがゆえに、その深層部分が隠されてしまっているのではないかとまで考えてしまった。
ディズニー特有の華々しくハッピーな雰囲気を享受すると同時に、おとぎ話をはじめとした古典的物語を現代に翻案する難しさをも感じる一作であった。
月