マクガフィン

クリミナル・タウンのマクガフィンのレビュー・感想・評価

クリミナル・タウン(2017年製作の映画)
3.2
作品の枠組みが、2時間ドラマの殺人事件の真相究明に素人がしゃしゃり出る、懐かしいスタイルに驚く。

主人公は、母親を亡くした無力さのトラウマにより、親友の殺人事件に首を突っ込むことに。純粋な気持ちによる衝動や、余計な言葉を付け足す癖がある会話、周辺の人がおかしいと思う行動は、突っ込みどころも多いし、ヤキモキするが効果的にも。

決めつけることによる視野の狭さ、性の開放と欲動の解放を含みをもたらす危うさなどが、若気の至りのように。事件の真相の様々な含みをもたらす展開にマッチしているかは微妙だが。
主人公の愚直な思い込みの危うさと、喪失とプライドを傷つけずに制御する彼女との関係が良く、将来の関係も透けて見えるかのような微笑ましい。

母親や親友の死に対する喪失と再生としては弱いが、事件終焉のラストの余韻が、作品を通じた人生の儚さが集約して漂うことが心地よい。