カイ

スティーブ・ジョブズのカイのネタバレレビュー・内容・結末

スティーブ・ジョブズ(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

まず構成が大胆。ジョブズの功績を3つの時代にザックリ分け、そのスピーチ(順にMacintosh、NEXT、iMac)の直前を描く。これがとてもわかりやすかった。また、その「スピーチ」こそがジョブズが最も得意とした「場を支配すること」そのものである点もよく練られていて興味深かった。実際のジョブズもこんな風に活き活きとしていたのだろうか。
時代は違えど関わる人物が固定されている点も面白かった。ウィズ、ジョアンナ、スカリーそしてリサ。各々との交流と、それを通してジョブズ自身の内面の変化が浮き彫りになっていき、僕のようなアップルに疎い人にも彼の人となりが理解し易かった。特に娘のリサとの関係はあまりクローズアップされてきたことがなかったので新鮮に映った。
しかし、最後のジョブズの人間性の欠陥を彼自身の幼少期に求めたのは些か安直なように感じた。そこが残念といえば残念。
ただ、俳優たちの演技は素晴らしかったし、特に主演のファスベンダーは容姿の似ていなさを補って余りある演技でジョブズを熱演していた。こういう地味になりがちな会話劇でここまで活き活きとした映画になったのは俳優と、そして監督の編集の巧みさに依る所が大きいと思う。やはりダニー・ボイル監督作品にハズレなし!
カイ

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