Aix

恐るべき子供たちのAixのレビュー・感想・評価

恐るべき子供たち(1950年製作の映画)
3.9
ジャンコクトーが原作、脚本、ナレーションを務め、ジャンピエールメルヴィルが監督した恋愛映画。病気がちな弟を介抱する姉の話。

同性愛×近親愛というまさに偏愛すべきジャンルを描いた破滅的な作品でした。今作の主人公でもある姉弟は、グザヴィエドランかよってツッコミを入れたくなるくらい揉めるに揉めている上に、尚且つろくでもない性格をしていて、共感出来るとは言い難いです。その一方で、全体的に危なっかしく、愚かな子供が破滅していく様はダルデンヌ兄弟にも通じる見応えがあったと思います。閉鎖的なセットと散らかった美術は子供たちの混沌とした精神をよく表していたし、撮影もとても綺麗でした。衣装を担当しているのがディオールだったのも、この時代のフランス映画的で良かったです。そして役者たちの芝居も見事でした。コクトーのミューズになる弟役のエドゥアールデルミや、常に姉弟に寄り添うジェラール、ダルジュロスとアガットの二役も魅力もさることながら、やはりエリザベート役のニコールステファーヌがいなければ今作は成り立たなかったと思います。

かなり好き嫌いはっきり分かれるだろうし、正直に言うと人に勧めたくなるような作品ではありませんが、それでも大好きな一本です。また見返す日が楽しみ。
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