恐るべき子供たちの作品情報・感想・評価

「恐るべき子供たち」に投稿された感想・評価

LEONkei

LEONkeiの感想・評価

3.5
夢想による恍惚に結ばれた姉弟は、異常なる愛情の世界の渦に堕ちる。

〝アラビアのどんな香水でも、この手を清めることなどできない〟

姉〝エリザベト〟が鏡の前で自らに問いかけるその言葉に、異常なる愛を確信し理性崩壊の覚悟に背筋が凍る。



作家・演出家・脚本家・演劇・振付け師…、多彩なマルチ芸術家〝ジャン・コクトー〟の原作を映画化し、自らナレーションで姉〝エリザベト〟と弟〝ポール〟の関係性を語っていく。



子供が思春期を向かえ現実社会に触れる頃、これまでの理想や夢とのギャップに戸惑いを見せる時期が必ずある。

その現実を受け入れられずココロ幼く未熟な故に、現実逃避した〝どこか他に理想の世界がある〟と錯覚し混乱の渦に巻き込まれる。

『あの世界へ行きたい…』と子供(姉弟)たちの揺れ動くココロを、ジャン・コクトーが倫理観を越え恐ろしい悪夢に描いている。

何歳になっても理想や夢を追い求める事は悪くはないが、現実も見なければ未熟な〝子供〟が駄々を仔ねているにすぎない。

自らを見つめ問いて現実を理解する事が、寧ろ理想や夢に限りなく近づくだろう..★,
Ricola

Ricolaの感想・評価

3.2
ジャン・コクトーの同名小説が原作。

「恐るべき子供たち」というタイトルからもう不穏な空気を感じるけど、この映画自体もやはりそういう雰囲気だった。

姉と弟の愛と狂気。
お姉さん役の女優さんは「海の沈黙」にも出演してて目がとても印象的だったけど、今作でもそうだった。こちらでは目を見開くことが多く、強烈に印象的なのと同時に怖かった笑

弟の夢遊病のシーンのときなど、音楽の使い方がツボだった。

だけど、ずっととりとめのない感じでぬるっとストーリーが進むのでモヤモヤしたりした。
ドラマではなく文学だと思って観ないと誤解するかも。何の前知識もなく観たので姉弟の言動がキチガイすぎて引いてしまった。これをドラマにしたいのであれば、あまりにも説明が欠けている。まあ、抽象映画だと思っていいだろう。
絵は時々キマっている。不自然なクローズアップや俯瞰カットは良い。難解で脈略のない台詞に対して演技過剰な演出も、シュールといえばシュール。ヌーヴェルヴァーグの先駆けと言われるのも納得できる。
まず、メルヴィルのMで始まるトレードマークにときめいた私。

そして始まった『恐るべき子供たち』は、メルヴィル×コクトーの個性のせめぎ合いでした。
そして、エリザベートとポールの斜めな兄妹愛のせめぎ合い!

この兄妹の顔がソックリなことに見入っていたら、弟が好意を抱いた少年とマヌカンが同一の女優ルネ・コジマだったのに驚きました。

驚きは止まらず、友人ジェラールが兄妹を「遠く感じた」シーンでは、アンリ・ドカエのカメラが文字通り スーッ! と、俳優だけを遠ざけたり😳兄妹が目で会話するシーンなど。『シャイニング』かと思いました(笑)

夢遊病、死や夢のシーンではシュルレアリスムの色濃く、絵画のようにバチっと決まった図になっているのが印象的でした。

私的にメルヴィルらしいシーンと言えば、ユダヤ人のミカエルが洒落たメロディをピアノで弾きながらセリフを言うシーンです!
これは良かったです💕

そして、ディオールによる衣装では、アガートの全ての帽子👒や、エリザベートがマヌカン館へ行った時のドレスと夢での‘見慣れないガウン’これはサテンの水玉のガウンでとっても素敵でした💕
プリミティブで無秩序な世界が描かれたコクトーの原作が、その独特の質感が損なわれることなく映像化されていることに感動を覚えた。彼が口もお金も出した賜物なのだとしても。
窒息しそうなほど親密で険悪な匂いに満ちた子供部屋。姉弟は魂のレベルで深く愛しあい深く傷つけあう。エリザベートの残酷さはラストに向け加速する。蜘蛛は巣が完成するまでせっせと糸を吐き出し続けなければならない。私が心を持っていかれた原作のラスト数ページの描写はほぼカットされているけれども、幻覚と愛憎が渾然一体となり突然幕が下りる映画の終わり方もすばらしいと思った。バッハの音楽が最高。


バッハ 『4台のハープシコード協奏曲イ短調BWV1605』
Ken

Kenの感想・評価

2.5
散々長い前フリがあるが、終盤急展開する。
なんで、そんなウソをつくのかかなり謎だが、まぁ、そうなるだろなと思わせられる。
最後もなんで、そんなんなるん?と思うけど、まぁ、そうなるだろなと思う。

ジャン・ピエール・メルヴィルの映画。今はまだ助走の段階。いや、でも、海の沈黙面白かったもんなぁ。
nagaoshan

nagaoshanの感想・評価

3.6
ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品!

ジャン・コクトー自身の小説の映画化なんですが、脚本とナレーション「詩的」も担当。

メルヴィル監督の『海の沈黙』を凄く気に入って、本作を依頼したそうです。

母と一緒に暮らす姉エリザベート、弟ポール姉弟喧嘩の絶えない二人、姉は弟を溺愛して、弟ポールはガキ大将に恋心を抱き、又別の男にも好意を抱かれてる…

当時としてはかなり攻めてる題材ですね。近親相姦、ホモセクシャルの話を描いとります。

撮影アンリ・ドカエがいい仕事しとります!
死人の描写がエグい、メルヴィル演出!

中盤まではハマれませんでしたが、終盤にかけて姉役のニコールが素晴らしい!

落書きされた置物の眼差し…

夢遊病のポールの徘徊…

しかし、コクトーのナレーションは違和感…

よっしゃ!メルヴィル作品連投しよう(^^)

良か映画!
コクトーの短編を原作にしてることもあって詩的なナレーション多め。ストーリーは掴めたけどなんか終始キャラクターの行動が不可解でハマらなかった。
イシ

イシの感想・評価

4.8
メルヴィルん中だとやっぱいっちゃん好きなんだけど、彼じゃなくてコクトーの演出だったら、もっと緊張感があったのかな。

でも今みても結構心が揺れる映画やな。

「死にてえー」って、大多数の人間は思ってるだろ、と思ってる派なんですけど、それでも、生きるほうに向かうタイプと、死にロマンを感じてそっちに向かってくタイプとおおまかにはあると思う。どっちであっても必死で生きるし死ぬときゃ死ぬんだけど。

この映画の姉弟の物語は、後者の物語で、運命も運も悪すぎて悲劇的で、二人とも、落ちるほうにしか目がいかなくなってて。
死に向かってしまうときには、二人の物語と、あのラストに浄化があるような気がするんだと私は思ったかな。
ジャン・コクトーの原作をメルヴィルが映画化した作品。閉鎖的な環境で生きてきた愛憎渦巻く姉弟関係は理解に苦しむ。影の使い方が独特。
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