イチロヲ

秘本袖と袖のイチロヲのレビュー・感想・評価

秘本袖と袖(1974年製作の映画)
4.0
秘本の執筆を手掛けている新進気鋭の小説家(風間杜夫)が、有閑夫人(宮下順子)の貞操帯の鍵を入手したことにより、淫蕩の世界に落ちてしまう。明治、大正期の小説家・小栗風葉をモデルにしている、日活ロマンポルノ。三大発禁本シリーズ。

日露戦争時代を舞台にした「発禁本もの」路線。自身の放蕩気質と格闘している夫人に対して、一直線の恋愛を向けていく若い小説家。日活保養所(千葉)でのロケ撮影が多大なる効果を上げており、退廃ムード満点の世界観が構築されている。

主演男優を務めているのは、主役クラスに抜擢されるようになった時期の風間杜夫。性的欲動の高揚と乱反射をスノッブに表現することに成功している。相手役の宮下順子も最盛期に入っており、夫の手により解錠されたときの桃色吐息がエロ過ぎる。

助演女優では、梢ひとみがマイ張形を隠し持っている令嬢を好演。自分の踵に張形を括りつけて、アクロバティックな自慰行為を披露してくれる。この手管は、江戸時代の春画に「あしづかい」として描かれているため、映像で観られることの感動もひとしお。
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