津軽系こけし

追憶の森の津軽系こけしのレビュー・感想・評価

追憶の森(2015年製作の映画)
3.9
万人受けはしないがお洒落な映画。


死に場所求めて三千里。舞台は富士の青木ヶ原樹海、小説「波の塔」の影響で奇しくも自殺の名所というありがたくない看板を貼られた場所。
そんな青木ヶ原樹海はエンタメ業界では負の象徴として取り扱われることが多く、ヒロインが自殺したり主人公が自殺したりなど負のイメージが強い。しかしこの樹海をここまでポジティブに捉えた映画って実は珍しいんじゃないかなという印象。

死の淵から描く生の価値。記憶と魂。
よくよく考えるとこれ我々が連想する富士の樹海とはまるでかけ離れたテーマなんですよね。そう考えてみると画期的な映画といえるのかもしれない。

しかしこの映画、冒頭らへんは割と写実性が強いのに最後に語られるのは精神論的曖昧な結論であるため「え?…そっちなの?」と肩透かしを食らいやすい。
最初からスピリチュアル映画と分かっていればもっとこの世界観を気に入っていたかもしれない。惜しい。
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