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ムンバイ・ダイアリーズのmeehooのレビュー・感想・評価

ムンバイ・ダイアリーズ(2010年製作の映画)
3.9
『カーストとは何か』という本で紹介されていたことからこの映画を知りました。

アメリカの金融企業で働いているシャイは、一時帰国したムンバイで、洗濯男のムンナと出会う。
シャイの家政婦は、洗濯カースト=ダリトであるムンナに対する差別意識を隠そうともしないが、シャイはそんな家政婦を白眼視して、みんな平等とばかりに、ムンナの良き友であろうとする。
しかし、そんなシャイもまた、ムンナとそれ以上の関係になるなんて考えていないし、さらに最悪なことに、ムンナがそれで苦しむことになるなんてことは思いつきもしないという残酷さを持っている。
(ただ単に嫌な女だという可能性もなくはないが、嫌な女を見せるために作られた映画ではあるまい)

カースト制度はインドの憲法上は既に撤廃されているらしいのだが、今なお根強く残っている。インド人の知り合いに『とても大切なことが書かれているから』と言って強く勧められたバガヴァットギータなる本も読んでいるんだけど、不勉強で浅はかな私には、カーストをあの手この手で正当化する申し訳にしか読めない。こんな本を『大切な本』として勧めてくるインド人のマインドってどんなもんなのだろうと思ってしまったオレ。日本における、お天道様=世間の目信仰も、他所から見たら異様だろうけどね。

えにうぇい、恋愛映画でありながら、インド人のDNAに深く複雑に絡みついているカーストの心理的支配をさりげなく見せつけてくる、切なくて悲しい物語でした。
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