アランスミシー

ルカじいさんと苗木のアランスミシーのレビュー・感想・評価

ルカじいさんと苗木(1973年製作の映画)
5.0
涙が止まらなかった
ずっとこの世界に浸っていたかった
人類が誰1人支配欲を持たなければ実現されていたかもしれない世界
永遠に壊れないこの世界がもし存在したなら、一生涯地味な(必要不可欠な)仕事を続けたって構わない。
技術革新によって生まれた映画という媒体すら存在しなくてもよかった。
自然界に元々ある素材だけで満足できた。
いつかまた世界がルカじいさんみたいに分け合う人々で溢れる事を望んで、その実現の為だけにこれからも生きようと思う。



「ここで休んで良かった、水も飲めたし回復できた」=ここで休んだ事によって、自分以外にも人助けをする善良な心を持った人間が他にも居るのを確認する事ができた。

自分がグルジアの伝統であるヘチェチューリを守らなければ、次の世代はきっとその伝統を忘れてしまう。
この物語はヘチェチューリの絶滅、つまり世界から助け合いの心が失われている事を察した老人が久方ぶりに下界に出てその道徳という伝統を守るべく旅に出るのだが、その旅の先で、次の世代にもその道徳心を引き継ぐ若者が居る事を確認してようやく自分の死を受け入れるという話。

ヘチェチューリ=宴会を開けるという台詞があったように人と人とを繋げる木
ヘチェチューリの絶滅=古くから続く人と人との繋がりや助け合いの心がこの世界から消えてしまう事
気温の低下=米ソ冷戦による冷め切った世の中

ルカじいさんが挑戦志向を失ったきっかけはチェチューリの枯渇と自身の死期から

ラストのヘチェチューリ並木が余りにも美しかった。
グルジアって本当に自然豊かで果物のモチーフに溢れてるよね