ゆえん

怪物はささやくのゆえんのレビュー・感想・評価

怪物はささやく(2016年製作の映画)
3.3
建前と本音と、潜在意識と偽善と、人って色んなことを内に秘めながら過ごしているよな、と改めて感じました。

主人公のコナーはとても素直で実直な性格なのだろうな、と思いました。
"真実"を秘めていたことで気づかぬ内に罪悪感を覚えていたり、そこから罰せられることをどこか望んでいるような描写があったり、自分に嘘をつけない子なのだと感じました。
真っ直ぐすぎて不器用なのだな、と微笑ましく見てしまいました。


コナーをいじめる子に対してセクシュアルマイノリティ的な視点を持たずにはいられませんでした。
スクールカーストに縛られている年頃な上、未だに「ヘテロが正しい」とされる社会全体の固定観念に縛られているが故に「自分をゲイにさせる要因=コナー」を否定し攻撃的になることで自分自身の"正常性"を確立しようとしていたのかな、と。
自己同一性の確立にやきもきする時期でもありますし、いじめが良くないのは絶対的な倫理観として持ち合わせていますが、なんだかいじめっ子の子に対しても一抹の切なさを感じてしまいました。
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