Mee

怪物はささやくのMeeのネタバレレビュー・内容・結末

怪物はささやく(2016年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

この世界は物語のような勧善懲悪じゃない。
悪、善とハッキリ二分できる人はあまりにも少ないし、どちらにもなり得る中間にいる人が世界の大部分を占めてる。
その、ともすれば簡単に善にも悪にもなれる不安定な存在を何とか繋ぎ止めているのが信念なのだ。
怪物から語られる全三篇に渡る物語のうち、二篇からこんなメッセージが伝えられる。
そして問題の三篇目…
怪物はコナーの心の深淵、果たして心の救いとなるのかそうではないのか。
母を失う孤独に耐えきれず、夢の中でいつも母の手を放してしまうコナーは罰を求めていた。
けれども皆、

「罰はなし?」
「罰して何になるの」

とお咎めなし。
唯一いじめてくる少年から暴力を受け、罰を受けている気持ちになっても、突き放されてしまう。
大人と子どもの狭間にいる少年の孤軍奮闘っぷりは見ていて大変苦しいものがあった。
しかし、多くの人からの許しを得て、学び、自分に向き合うコナーには思わず涙してしまう…
そうして素直になり、今までの自閉的で他者との関わりが薄かったコナーの世界が大きく開けたのだ!!
母の手を放し、大人へと近付く。
この物語は孤独な少年の成長記録、通過儀礼なのだな。

🎬「〝末長く幸せ〟はダメなの?」と父に問うコナーに、「大抵の人間は〝末長く複雑〟だ」と答えるシーンが印象的!
Mee

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