o

日曜日の人々のoのレビュー・感想・評価

日曜日の人々(1930年製作の映画)
3.3
ベルリンの若者達が日曜日にピクニックに行く話。
素人俳優が主要な役を演じて、街頭ロケで撮影された作品。

中盤、ストーリーと関係のない人々を1人ずつクローズアップで撮っていて、それぞれの表情がとても良かった。特にいたずらっぽい顔をして笑う少年。

若者達が過ごす日曜日の幸福な時間を描いた内容は、戦争直後の黒澤明監督『素晴らしき日曜日』(1947年)に似ている。
ただし『素晴らしき日曜日』は希望を感じさせたのに対して、『日曜日の人々』から感じてしまうのは、やはり儚さ。

世界恐慌の直前の一瞬だけの平穏な時期に撮影が行われ、
その後、「ユダヤ系であったジオドマーク、ウルマー、ワイルダー、それにジンネマンも、もはやドイツに居られなくなった。」
「40年代以降のアメリカ映画の重要な巨匠達になった彼らの最初の作品が、そのアメリカで作ることになる、人間と社会の闇をある時は直球であぶり出し、あるときは痛烈に皮肉った、ある暗さを背負った映画群とはまるで真反対に見える、この普通の人々のささやかな生活の、しかしだからこそまばゆい輝きを捉えたこの『日曜日の人々』であったことから、現代から見返すと歴史の奥深さと哀しみもまた、浮かび上がって来る。だからこそ21世紀の停滞と袋小路のなかにある現代の世界で、『日曜日の人々』は今でも現代映画の最先端なのである。」
(https://8bitnews.org/?p=5735)
o

o