Ryo

ワンダーウーマンのRyoのレビュー・感想・評価

ワンダーウーマン(2017年製作の映画)
4.1
人間に生まれたからには愛することを忘れてはいけない


神(ダイアナ)は人間を愛することで人間を守り愛が生む凄まじいパワーに気づく。
女性解放運動、女性差別、第一次世界大戦、ギリシャ神話を含んだ深い話である。

2001年宇宙の旅のようなキラーエイプ理論(猿は猿を殺すことで進化する)を否定し人は人を愛すことで人間になりお互いを守ると信じる。理想でも絶対に諦めないという決意が歌から、ダイアナから伝わってくる。
しかし理想は現実に勝てない。現にこの後第二次世界大戦、ベトナム戦争が待っておりダイアナはおそらく戦ったのだろう。でもいつの日か愛し合える日が来ると待っているのも間違いない。

ー原作ー
女性解放運動を訴えた原作者のワンダーウーマン
41年にコミックのワンダー・ウーマンを発案した、ハーバード大学の心理学教授ウィリアム・マーストンと、夫と同じ心理学者の妻エリザベス、教授の元生徒のオリーヴ・バーンを描くもの。2人の女性は、ワンダー・ウーマン像に大きな影響を与えた。また、女性2人は同性の恋人同士で、それぞれ教授との間に子供を持ち、教授の死後は一緒に子供たちを育てた。さらに今回配役されたガルガドットはイスラエル人。そして彼女は以前徴兵されていたこともあり今作につながるのだ。

ー人類を愛するようになるまでー
アリスとの戦いや母親からの忠告で人間の愚かさを知り混乱を実際産んでるのは人間だと教えられた。しかしダイアナは人類は愛すべきものだと抵抗する、

ーローマの休日との関係ー
『ローマの休日』には、お姫様と新聞記者のラブロマンスの裏側に戦争というテーマが隠されている。ヒロインは初めて人を愛することで、戦争で愛する人を失った人々の悲しみを初めて実感し、欧州の平和の実現という王女としての使命に目覚めます。
アイスを食べて感動するシーンはローマの休日へのオマージュです。

ー女性解放運動ー
当時女性たちのこの運動は石を投げられ、いじめられ、警察に殴られていた。ダイアナは今作で戦争最前線に送り込まれ戦闘したシーンは監督が最もこだわったと言う。敵陣に攻め込むときハシゴを登った、これは社会進出を表している。その後のダイアナは当然相手の弾丸おを受けながらも一歩づつ着実に進んで行く。これはまさにいじめられながらも諦めなかった女性たちを象徴し賞賛している。

ーワンダーウーマンは、スーパーマンと違って、なぜ人を殺すのか?ー
アマゾネスは兵器として殺すために神に作られ、ダイアナはさらにアリスと兄弟である。

ー一味違う恋愛ー
ダイアナはセックスはいらない、スティーブは強くも頼り甲斐があるわけでもなく誰かと一緒にすんだり幸せになったことがないと打ち明けます。それを見たおそらく全性愛のダイアナは慰めるために抱いてあげたのです。

ー主題歌「To be Human」Siaー
映画のストーリーやテーマと密接に関係した歌詞で、
人を愛して、人に絶望して、でも愛を心に秘めて、あきらめずに戦っていくダイアナの決意が歌われています。
一部紹介
「人間らしさとは愛すること
どんなに耐え難い時でも
私は決してあきらめない
人は人を愛してこそ人
どんなに失望しても
私は絶対あきらめない」
男性が歌う「ああ、今、君は遥か遠くて僕の腕は届かないけど」というパートがある。これは犠牲になった主人公スティーブである。

ー戦没者の写真の中に実在の戦争詩人がいるー
ラストダイアナが戦没写真に向かった時スティーブのすぐ下にジークフリドサスーンという詩人の写真がある。この詩人は「死すべき定めの若者のための賛歌」 を書きその一行めに「どんな弔いの鐘があるというのか 家畜のように死んでゆく者共に?」とあります。馬を虐待することで兵士が殺される残酷さを表したりする今作に影響を与えたため写真を使ってるのでしょう。

ー戦いの神アレスの目的ー
アレスは「人間の残忍性は神の支配と導きよりも遥かに強大だ」という主張を持っている、神を滅ぼした人間への復讐として混乱を招きます。そのためアレスは戦争を激化させる助言をあくまで囁く程度に留めておりあとは人間に任せています。

ーワンダーウーマンの装備についてー
銃弾も跳ね返す腕輪:これは以前女性は奴隷として働かされていた。その時はめられた手枷のことを忘れないため。
ヘスティアの縄:ワンダーウーマン原作者は精神科医であり嘘発見器の発明者であるため

ちなみに母の語るダイアナは粘土を作って命を吹き込んだなど神話はウソで、ダイアナが読破した「クーリオの肉体的快楽」とは現実にはありません原作のみで出てくる空想の哲学者です。
Ryo

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