さすらいの旅人

リリーのすべてのさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
4.2
美しい絵画を見ているような映画。WOWOW過去録画視聴。

本作は実話で、世界初の性別適合手術を受けたデンマークの画家の伝記映画。
トランスレンジャーの映画は性的好奇心で見てしまうのであるが、この作品は壮絶な人間ドラマとして見応えがあり感動した。

特に女性として目覚める風景画家アイナー役のエディ・レッドメインの演技がすごい。手指や足、顔や目線の表情など、まるで女性のような仕草は驚異的であった。
また、それを理解し応援する肖像画家の妻ゲルダ役のアリシア・ヴィキャンデルの、献身的な演技も素晴らしかった。彼女はアカデミー助演女優賞を獲得している。
両者の普通では考えられない夫婦愛も見所の一つです。

本作で面白かったシーンがある。アイナーが初めて女装して妻とダンスパーティーに行くのであるが、周囲の男性が綺麗な女性と勘違いして、ジロジロ視線を送ってくるのだ。バレるかも知れないドキドキ感と相まって面白かった。

また、本作は撮影がすごい。絵画的構図で撮影するデンマークやパリの風景は、芸術性に溢れていた。特にラストのデンマークの絶景は言葉に出ないほど美しかった。

本作は重いテーマの作品ですが、それを感じさせなのは製作者のこの映画にかける思いの強さだと思う。良作です。