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リリーのすべての作品集のレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
4.5
見方によって感じ方が変わる映画
僕にとってはずっと苦しい映画でした。

アイナーはデンマークを代表する風景画家
妻ゲルダも画家で結婚して6年。
ある日、ゲルダのモデルが飛んでしまい、
アイナーに女装モデルを頼む。
それが全ての始まり。。。

観てるだけでお腹がいっぱいになるのに、
実際に体験したリリーとゲルダはどんな気持ちだったんだろう。
想像を超える辛さだったんだろうな。

リリーは
この時代にトランスジェンダーについての
理解が今ほどあるわけもなく。
相当苦しい思いをしたと思う。
周りからの視線も痛いし、
どうしても心のバリアが働いてしまう。

ゲルダも苦しかったことで言うと同じで、
肉体はアイナーなのに、
心はリリー。
私が愛していた人の見た目なのに、
中身が違う人だから…なんて
そんなの理解できるはずがない。
ゲルダはどんな気持ちだったんだろう。
リリーがアイナーを乗っ取ったように
僕は感じた。
でも、そう感じる理由として、
作中、【アイナーを消しに行く】
とかいうセリフがあったからだと思う。

乗っ取るとかそんな次元ではなく、
アイナーもリリーも合わせて
1人の人間であるという理解を
この時はリリー自身もできていなかったんだろうな。

でも逆に、
そんなアイナーを最後まで
看取ったゲルダは心からアイナーを
愛していたんだろうなと思う。
リリーが言った
【これほどの愛に私は値しない】
というセリフが、
リリーの本音だと思う。
それくらい身勝手に振る舞ったことも
彼女自身理解していた。

だからこそ、この映画はつらかった。

勉強になった。
苦しくて、もう二度と観たくないけど、
一度は通ってほしい映画。
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