内容的に、どうしてもグザヴィエ・ドランの『わたしはロランス』と比べてしまうなあ。テンポが良い演出の秀逸さやドラン・スタイルと言われるシンメトリーの独特な使い方など、テーマ以外の部分でも見るべきものがあった『わたしはロランス』だけど、テーマで押しきった印象の本作は全体的に雑な作品になっている。
アイナーの葛藤をもっと丁寧に描く必要もあったと思う。エディ・レッドメインがあれだけ素晴らしい演技を披露してくれたのだから、展開を綿密にし、エディ・レッドメインをより際立たせる作りにしたら、“大傑作!”と言える作品になったかもしれない。すごくおしい映画です。