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リリーのすべてのnemokuraのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
3.9
世界で初めて性別適合手術を受けた、実在の画家リリー・エルベ(アイナー・ヴィーグナー)の物語。

LGBTとまとめること自体が誤りであるかもしれないが、トランスジェンダーを扱うこの作品はとても今日的な作品だ。

まず、主演のエディ・レッドメインの演技がとにかく素晴らしい。視線や指先の動きなど細かい仕草を通し、アイデンティティの揺れがとても伝わってくる。

男女の夫婦として、一見幸せな生活を送っているように見えた主人公が、少しずつ本当の自分に目覚めていく様子から考えると、もしかしたら誰しもがそのような可能性を秘めていて、性的マイノリティなど存在しないのかもしれない。

哲学者、批評家のジュディス・バトラーの著書『ジェンダー・トラブル』などから、クィア批評(クィアは性的マイノリティを指す)の考えや情報を得ると、この映画は何十倍も面白く鑑賞できる。
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