ゆ

リリーのすべてのゆのネタバレレビュー・内容・結末

リリーのすべて(2015年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

美しい 美しい という感想が並んでいたけど、本当に美しかった。アイナーとゲルダが住むデンマークの街並も、アイナーの絵も、ゲルダの愛も、リリーも。

変わっていく自分、本来の自分から変わってしまう感覚というのを、私も、性とは関係ないところだけれど経験したことがあって。変化してもなお愛してくれるゲルダの有り難さや尊さを、そして、習慣的に愛して尽くして、それでもアイナー及びリリーを愛していることに嘘はないゲルダの絶妙な空気感や葛藤がリアルでときどき涙が出た。

アイナーもリリーも死んでしまったけど、最後にリリーが幸せに逝くことができて、それが唯一の救いだなと思う。この時代にこういう生き方は難しかっただろうし、2人の性をも凌駕する「絆」のようなものを強く感じて、すごく感動した。

あとはただ、ひたすらにエディレッドメインが素晴らしい。

良い映画だった。R15だから中学生は無理だけど、高校の授業で観せたい映画だと思った。

追記
考えれば考えるほど色々なことを思う映画だな。ウラもハンスもいたからこそ、ゲルダは壊れなかったのだと思うし、人間と人間との複雑な関係性ってものすごいモヤモヤしたものなんだな。皆が心地よく生きていけることに越したことはなくて、淘汰されてきたものを、きちんとのびのびとさせてやる少しの「無駄(語弊あり)」が現代社会には何よりも重要だったりもするのかなと思った。

LGBTについて考えるための一助となった。有意義だったと思う。
ゆ