zuka

リリーのすべてのzukaのネタバレレビュー・内容・結末

リリーのすべて(2015年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

エディ・レッドメインの演技がとにかく素晴らしい。
モデルのために服を当てがい、ポーズをとった時の心が震える様子。初めてリリーになって外へ出た時の怖れと戸惑い。
リリーになってからゲルダとの関係で抱える葛藤。身体がリリーになってからの苛立ち?(ホルモンの影響だと思ったけど、もしかしたら違うかも。もっと他のことにイラついてたか?)

ゲルダの立場辛すぎる。
リリー、ちょっと突き進み過ぎやしないかいと正直思っちゃった。けど、これまでの人生で心と身体が一致しない状態でどれほど苦しんだかなんて、想像し得ないからな。しょうがないのか。
うーーんでも。なんかモヤモヤする。
リリーにも幸せになって欲しかったけど、ゲルダにも幸せになって欲しいよ。

私自身が、あまり"女性らしく"なりたいと思ったことがないから、こういう話を見聞きするといつも不思議な気持ちになる。

でもこれは、現代の感覚で観ているからだ。当時はもっと男女の性がくっきり分かれていて、それぞれの"役割"があった。
(今だって"女性らしさ"を押し付ける社会と生身の女性との軋轢はあるけど)

だからそこから抜け出せただけでも、とてつもない解放感と自由を感じただろうな。

(こんなことを思ったら人として駄目かもしれないけど、子供を産むことが出来ないリリーは、完全なる女性の身体を望み続ける限り幸せにはなれなかったんじゃないかと思ってしまう。
あと、術後もうちょっと待ってからにしたら良かったのに、とか…。)

彼・彼女たちの望むことって肉体を完全に性転換できるようになることなのかな。
もちろんそうか。あ、でもそれが現在の技術では不可能だから、社会が変わるしかないのか。現代でもやるべきことはまだまだあるんだな。
生まれてきたその人が、死ぬまでその人らしく生きることが出来るような世界。
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