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リリーのすべてのnaoズfirmのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
3.8

究極の愛🎬

ストーリーは世界で初めて性別適合手術を受けたデンマーク人リリー・エルベを描いた作品でした。

"支えてくれる人"
今作で重要な存在が妻のゲルダです。作品としてのリリーの存在は大きいですが、シナリオとしてリリーの存在はいたって平凡な作りでした。今作が圧倒的に素晴らしいものになった理由の一つはが妻ゲルダの存在だと思いました。ゲルダに関してはもう災難でしょというレベルの事ばかりです。ずっと愛していた男性がだんだん女性になってしまって、元々愛していた夫はいなくなってしまうわけですから。描き方として秀逸だったのは、アイナーがリリーになる描写ではなく、アイナーの中にリリーがいて、彼女がアイナーを殺してしまうという描写にしたことです。そして全てをゲルダが受け入れるところです。それだけ、心からゲルダがアイナーを愛していたのだという深さを思うと胸が熱くなりました。「画家としての成功」「妻としての戸惑い」「愛するが故に応援したい気持ち」という、3つの感情を天秤にかけた複雑な心理状態の中で、妻として何を優先すべきなのかを必死に思い悩んでいたのだ。その果てに、彼女はリリーが望むように生きることをサポートしようと決めましたが、リリーは自らの欲求を満たすことで頭が一杯で、妻が抱えた葛藤に対して敬意を払うことがありませんでした。夫婦は平等に愛を注ぎ合う関係であるべきです。

"LGBTQIA"
今作は世界初の性別適合手術を受けた人物「リリー・エルベ」を題材とし、デヴィッド・エバーショフによる小説「The Danish Girl」を原作としています。この物語は史実が基になっているというわけです。手術が行われたのは1930年です。まだまだ世界的には同性愛の方たちにはとても風当たりの強い時代でした。その中でも、デンマークやポーランドなどでは同性愛を非犯罪化される刑法が公布するなど少しずつですが世界が理解を示して行きました。そして時が経ち、2015年6月、全米で同性婚が合法化されました。今では27ヵ国が合法化となっています。Facebookなどが虹色に染まったのも記憶に新しいです。このレインボーフラッグというのは、LGBTの尊厳と社会運動を象徴する旗であり、フラッグに使われた色は LGBTコミュニティの多様性を表しています🏳️‍🌈今ではLGBTに加え、QIAなど様々な性の形があります。この言葉に加え性同一性障害といった言葉も私たちに馴染みのあるものになりつつあります。そしてこのLGBTの運動を加速させているのが、多くの著名人による自らの性の告白です。スポーツ選手、タレント、経営者など様々です。そして日本の現状に目を向けてみると2017年3月、日本政府はいじめ防止基本方針の改訂を行い、LGBT生徒の保護の項目がはじめて盛り込まれました。しかし、実際はいまだにLGBTに対する差別やいじめがあるのが現状です。 他の先進国に比べて日本の性への理解度はかなり低いと思います。自分は海外旅行が趣味でよく行くのですが、行く度にやっぱり日本とは違うなと感じるところがあります。また、異性カップルと同等の権利が法的に保障されていない点も課題のひとつです。渋谷区で、同性カップルに対し結婚に準じる関係と認める「パートナーシップ証明」の発行が可決されたことを皮切りに、いくつかの市区町村で実施されるようになりましたが、いずれも条例や要綱での実施であり、法的な拘束力はありません。 例えば、同性パートナーへの遺産の相続権がないことや、レズビアンカップルやゲイカップルへの生殖医療の適応など、法的整備や受け入れ体制が進んでいないことも大きな課題です。まだまだ国をあげてこの問題に取り組んでいないのが問題です。そしてあるアンケートでは職場に同性愛者や両性愛者がいることに抵抗を感じる人は、3人に1人というデータがあります。また、男女別にみると、抵抗を感じる人の割合は男性が女性の約2倍となり、40代、50代と年代が上がるにつれて高くなる傾向があります。性への考え方が少し違うだけで生きづらいというのは間違っている事です。
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