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ある天文学者の恋文のERIのレビュー・感想・評価

ある天文学者の恋文(2016年製作の映画)
3.5
なんだか大人になってしまうと、倫理的なものが先に来て感情移入できない時があるからダメだね。愛するってどういうことなんだろうか。


「質問に答えてくれない」なんて男は拗ねてみせ抜け目なくプレゼントを置いてでる。著名な天文学者エドとその教え子のエイミーは隠れて恋をしていた。エドには家族がいて許されざる恋だ。

マメで隙間があれば連絡をしてくれていたエドから急に音信が途絶え始める。なんだかとても嫌な予感がする。

ある時、薔薇の花束がメッセージとともに送られてきた。愛のメッセージは届くのに、電話は留守番電話のまま。街で見かけた黒い犬、窓に張り付いたもみじの葉、何かをわたしに伝えているみたい。

講義に出るとエドの訃報を受け取る。1月15日に教授は亡くなったという。居ても立っても居られないエイミーは彼を探して街中を歩き回る。そんなエイミーの行動を察するようにエドからまた指輪とメッセージが届く。老いた魔法使いはきみを見捨てをしない。

彼と最後に過ごした部屋に行ってみると彼のシャツが届いた。

許されざる恋という設定(?)が、彼の死と彼からの愛をただただ一人で受け止めるしかなくしていて、そのことがエイミーの真実を探す旅のような時間を理由づけていて切ない。彼を辿って訪れる島が美しい。素晴らしいロケーション。

教授からのメッセージを受け取るばかりでエイミーはあまり言葉を発さないのだけど、心の声、エドを呼ぶ声が聞こえてくるよう。

僕の過ちは、もっと早く君に出会わなかったこと。

家族もいるのに、最期の時間。恋人に時間を使う男の気持ちってどういうことだろうとか、留めどない多くのメッセージを受け取ったエイミーのその後を案じてしまうけど、こんなにも誰かを愛おしいと思うって、やっぱり凄いことだなと思う。
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