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ふたつの名前を持つ少年のspicaのレビュー・感想・評価

ふたつの名前を持つ少年(2013年製作の映画)
4.5
実話だったのか。
最初のシーンで、雪原を一生懸命歩く少年に心を掴まれてしまい、ずっと、応援しながら見ていた。
ナチスから逃げ回る日々。時々、1943年春とか、年と季節がテロップで出るのだが、早く終われ終われ!と念じていた。

逃亡中も、ユダヤ人ということを密告されたりもするのだが、それ以上に、住む場所も食べる物もない少年を匿って、食べさせて、逃がしてあげるたくさんの人々に感動した。自分が同じような状況にあった時、あんなに親切にできるだろうかと考えると、自信を持ってイエスと言えない。
アンネ一家を助けた人たち同様、善意の人たちも、たくさんいたのだということが救いになって、辛い場面もきちんと見れた。

最後、カトリックのポーランド人一家のもとに戻るのかと思ったが、戻らなかった。そこで、父親が自分の命と引き換えに息子を逃したシーンが現れる。ユダヤ人であることを決して忘れるな、と言って、撃たれた父の願いを裏切ることなどできない。

メーキングを見て、少年役の子が双子で演じていたことを知る。たまたま、1人を選んだら、双子だったらしい。そしてまた、監督も双子なので、双子の気持ちがよくわかったらしい。

ポーランド人監督かと思ったら、ドイツ人だった。セリフはポーランド語。
少年の置かれている状況とは対照的に、森や川、陽射しなどのポーランドの自然はとても美しかった。冬は大変そうだったが。
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