渡邉ホマレ

プレデター2の渡邉ホマレのネタバレレビュー・内容・結末

プレデター2(1990年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

欠損した「キャラクター」を「ルール」で補った第二作。

シュワルツェネッガーの肉体的説得力と「謎の敵」を組み合わせ、コマンドーアクションからサスペンス、都市伝説的ホラーからのサバイバル、そして知恵と肉体を駆使した対決まで、キャラクターと構成によってジャンルを飛躍した面白さを醸し出した第一作。
…だが、『プレデター』は、続編やリブートが難しい作品となった。
『エイリアン』のナンバリングシリーズには、エレン・リプリー=シガニー・ウィーバーという主人公が必ず登場し、エイリアンと彼女の対決という構図がフォーマットとして存在した。
またシリーズ各作品を、腕のある若手が手掛けるというアプローチ的側面もあった。
だが『プレデター』は2作目からダッチ・シェイファー=シュワルツェネッガーが姿を消した。
魅力あるキャラクターの片割れを失ったのである。
だが第二作となった本作は、プレデターのみに視点を絞った作品になっているかというと、そうではない。
失ったキャラクターの代わりに、「ルール」を際立たせたのである。
本作では、前作で見せた、もしくは臭わせた『プレデター』のルールが設定としてよりくっきりと浮かび上がっている。

プレデター
・とてつもなく暑い時期、「戦場」に現れる。
・武器を持たない者、妊婦などは殺害しない。
・獲物の頭蓋骨をトロフィーにする。
・二日に一度、牛肉を召し上がる。
・低温のものは目視できない
・相手が人間であろうと、勇士には粗品を進呈する
・ハイテク武器
などなど

主人公
・「戦場」で活躍可能な猛者
・高所恐怖症
などなど

特に「とてつもなく暑い時期、「戦場」に現れる」は、秀逸なルールだと思う。二作目の舞台となるの近未来のL.A.(公開年の7年後に設定されている)。犯罪が渦巻き日々銃撃戦が発生するこの街はもはや「戦場」と言っていい物々しさであり、そこで生き残る刑事(ダニー・グローヴァ―)はプレデターにとって勇士=格好の獲物となりうる。一作目のジャングルから、コンクリートジャングルへと舞台を移すための理由がしっかり構築されている。
これらルールを駆使して物語を構成していくため、一作目の不気味な雰囲気を脳裏に残した観客を今度は「奴らの正体」へと導いていくのに成功していると思う。要するに一作目の種明かし的な内容だが、中盤までのクライブ・パーカーっぽい都会の闇的なる演出(特に地下鉄のシーン)もスリリングでキチンと怖い。

プレデターのデザインも、一作目以上の準備期間のためにグレードアップしているし、何よりラストに出て来る長老(エルダー)プレデターが大変カッコいい。

……と。だがこの二作目で種明かしをしてしまった事により、『プレデター』はキャラクター化してしまった。以降彼らは恐怖の対象から、カッコイイモンスターへ、エイリアンやジェイソン、フレディ、貞子などと同様の消費対象へと墜ちて行く事になる。