このレビューはネタバレを含みます
「軽蔑するわ。あなたに触られると寒気がするのよ」
アンナ・カリーナに色んなことを言われちゃったんだろーな、と邪推してしまう台詞のオンパレード。金髪のBBに、どこかで見たような「黒髪ショートカット」のカツラをさせたり、仕草を真似させたり、チネチッタ撮影所の壁に自身の映画、『女と男がいる舗道』のポスターを貼ったりと、ゴダールの未練タラタラぶりがすごい。
「本作の製作者たちはゴダールの最初に仕上げた映画の出来が気に入らず、もっとバルドーの裸を撮るように要求。そこで冒頭の裸で横たわるバルドーなどが、後から追加撮影された」
といった映画の裏話を聞くと、いろんなものがごちゃ混ぜになった、冗談のようなメタ・フィクションに見えてくる。そしてゴダールは映画内でキッチリ「製作者」も「恋人」も殺してしまうわけで、色んな意味ですごい。