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Wの悲劇のcのレビュー・感想・評価

Wの悲劇(1984年製作の映画)
4.0
真夜中見終えて、私はブルッと震えた。鑑賞直後の余韻ったらそりゃもう、オールタイムマイベストテン入りするのではないかというくらいのもので。落ち着いてみるとさすがにそこまでではなかったが、いやはや凄かった。引き込まれるってこういうことだな。

女優を目指している少女の話であり劇中劇が展開されるのであるが、私は「薬師丸ひろ子」演ずる「三田静子」演ずる「摩子」という、同じ顔をした三人の少女に見事にのみこまれてしまったのだと思う。
少女が浮ついた朝の公園の舞台で高らかに言葉を放った時にはもう幕が上がっていた。だってそこで、一人の男と出会うんだもの。そんなの絶対に始まっている、開演している、後には戻れない。
脆すぎる足元に、踏み潰され散らばる花束のひどい美しさ。
劇中何度も流れるジムノペディが何もかもを一層引き立てる。醜く、けれども美しく。
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