ろくすそるす

ローリングのろくすそるすのネタバレレビュー・内容・結末

ローリング(2015年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

後々まで語られることになるだろう、カルト映画を同時代的に目撃してしまった興奮が残る傑作。
 「盗撮事件」を起こし、世間から白眼視された元教師で無職のダメ人間・権藤(40歳)が、教え子の貫一に彼女のみはるを寝取られるところからはじまるが、水戸の教え子たちとの邂逅から、この無頼気取ってる中年駄目男が、楽して儲けようとしいて、どんどんどん底に落ちてゆく私小説的な展開へとなってゆく。この惨めな駄目っぷりが本当に痛い。
 しかし、その盗撮動画に現在CMタレントとして活躍する美女のレズビアンの動画が含まれていたことから、金の臭いがしだして……。教師失格どころか、もはや人間失格という。
 いい年して不良になった権藤が巨乳の人妻を誘惑するところの捨て台詞とか、底辺でもがく人を追ったドキュメンタリー特番の撮影とか、ソーラーパネルとかもセンス・オブ・ユーモアに満ちあふれているし、頭軽そうな髭面の教え子の一人が、町工場で働く知り合いに屋上までドリルの「延長コード」を発電機とつなげさせて貫一を追い詰めてゆくところのバカっぽさとか、もう最高!で、このシーンだけでも、伝説化しつつあると思う。
 あと、盗撮ビデオを取引のシーンで登場する用心棒の元刑事の怖さたるや(KAMIKAZETAXIのミッキーカーチスっぽい)。
 因果因果因果などうしようもない奴だったけど、転がって、転がった挙げ句、現在の姿が「これ」というオチ(笑)これがまた一杯食わされた作りになっていて感動的で、そこだけでも本作がいかによく作り込まれた映画であることが伝わってくる。