服部だった何か

パンターニ/海賊と呼ばれたサイクリストの服部だった何かのレビュー・感想・評価

3.0
事実を基にしたフィクションならまだしも、ドキュメンタリィってやつは毎度スコアに困る。
制作者の「こう感じて欲しい」という明確なベクトルを極力排した作りがええドキュメンタリィ作品かな、という辺りが俺の個人的な判断基準なんやけど。
言ってしまえばそのくらいしか判断基準が無いもんで漏れなく悩むわけやな。

本作に関してはちょっと意図が介入し過ぎてる気がした。
プロサイクリストのサクセスストーリィから急転直下の転落、死没までを描いてる。パンターニの人生は興味深いし彼を取り巻くプロスポーツという社会の闇になかなか胸糞悪くなるのはええんやけど、もうちょっと色んな方面から物事を描いて欲しかったかな。
この業界に特に興味があったわけやないんやけど、なるほどこんな側面もあるんやなという事を知れたのは良かった。蔓延するドーピングを含めスポンサーの圧力なんかなかなか狂気渦巻く世界やけど、ちょっとパンターニを被害者として描き過ぎやないやろか。

明らかになってないのであれば、真実はどうやったんやろうかと考えさせて欲しい、観た側に委ねて欲しい。
人によっては思考停止してしまいそうな描き方はフェアやないぞ工藤。