赤西蠣太郎

セバスチャン・サルガド 地球へのラブレターの赤西蠣太郎のレビュー・感想・評価

4.3
ヴィム・ヴェンダース監督が描くドキュメンタリー映画。全編に渡りほぼサルガドの独白で映画は進行してゆく。時おり、息子や妻、父そしてヴェンダース監督の言葉で綴られるが、それはサルガドのストーリーを保管する役割だ。
個人的には監督が画面に登場して、その存在感を示すのはあまり好きではないが、ヴェンダース監督はさり気なく登場するのであまり嫌味になっていない。
さて、サルガドという写真家を追ったドキュメンタリーは、その息子のジュリアーノも「人間」として追い続ける魅力的な人物だ。サルガドは大いに愛に溢れる人物だということが見ていて伝わってくる。
サルガドが見てきた報道写真家としての人間の闇(苦痛)、そして自然写真家としての自然や動物の営み(歓喜)には確かに共通項が見出される。
それにしても、サルガドの写真は圧倒的だ。自身も語っているが、そこに動きが感じられることや背景が良いことで、一瞬の切り取りが永遠となっている。
ちなみに、サルガドの使用しているカメラはCanon 1Dや5D。同じカメラを持っているはずなのにこの違いといったらない。