グラッデン

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリーのグラッデンのレビュー・感想・評価

4.3
帝国軍の科学者を父親に持つ少女・ジンが、同盟軍の精鋭部隊「ローグ・ワン」の仲間とともに父親が開発に携わった帝国軍の新兵器・デス・スターの設計書の奪取に挑む。
『スター・ウォーズ』シリーズの「外伝」にして「プリクエル」となる本作。外伝ということから、立ち位置としては完全にファン向きの作品であることは言うまでもなく、前日譚にしても新3部作同様に「あらかじめ語られた」エピソードとしてファンに知られた結末であるだけに、公開前から楽しみにしておりましたが、どう展開していくのかは気になっておりました。
物語は、大きく分けて2つのパートで構成されていたと思います。前半は主人公・ジンを中心に「ローグ・ワン」と呼ぶことになるチームが結成されるまでの過程を描き、後半はローグ・ワンによる過酷なミッションとその後の顛末を描かれます。
期待感が充満した劇場の中にいた多くの観客(私含む)にとって、序盤の展開は「落ち着け」と言わんばかりに静かな立ち上がりであったと思います。
一応、個人的には、ファンの多くが頭に入れているだろう銀河帝国の支配下の世界観を作品世界の描写とアジャストするための「間」としては機能できていたと感じました。ある程度の下地をこしらえた上で、キャラを一堂に会してチーム結成、そして後半のミッションということで「ホップ・ステップ・ジャンプ」にはなっていたかと思います。
一方、後半部については、かなりテンションが上がりました。特に、昨年公開された『フォースの覚醒』では見ることができなかった白兵戦、そして艦隊戦の2つが展開されたことは非常に良かったと思います。旧3部作に続くストーリーであることから、ファンにはお馴染みのデザインのメカがスクリーンいっぱいに展開されたので、素直にテンションが上がりました。さらに「多勢に無勢」と言える戦い(何となくだが『戦国自衛隊』、あるいは『フューリー』を思い出した)の中で見られたローグ・ワン、そして援護に駆け付けた同盟軍の戦士たちの姿に感情的に揺さぶられました。正直、序盤の展開で各キャラの掘り下げが満足ではなかったと思いましたが、それでも「無謀」を「希望」に変えるために果敢に戦っていった彼らの姿には胸を打ちました。
冒頭でも触れたように、本作の結末は「あらかじめ語られた」出来事ではあります。しかし、その背景にあった壮絶な戦いが可視化されたことは、やはり物語としてのエクスパンションとしての役割を果たしたと思います。初めての外伝ということ、序盤の展開から、どうなるかと思いましたが、終わってみれば、次回以降の制作に関しても希望を繋げる内容だったのではないかと思います。
また、ラストの展開を見て、このエピソードが正史でカウントすれば「3.99」くらいまで進んだことを強く実感させられたことで「エピソード4を見よう」と感じさせたことも、本作の立ち位置としては良かったのかなと思いました。やっぱり『スター・ウォーズ』、最高!