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ソムニア 悪夢の少年のkanacoのレビュー・感想・評価

ソムニア 悪夢の少年(2016年製作の映画)
3.5
本人の意図と関係なく眠って夢を見るとその内容を具現化してしまう能力を持つ少年が巻き起こす恐怖を描く。悪夢はホラー的表現だか良夢は幻想的で美しい。少年が具現化した夢の内容についてちゃんと事象が解明されるところが良かったが、ラストがハッピーエンドのように描かれている所が腑に落ちない🤔(140文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

ソムニア=ラテン語で「夢」。本人の意図と関係なく、眠って夢を見るとその内容を具現化してしまう能力を持つ少年が巻き起こす恐怖を描く。ホラーではあるが、「良夢」と「悪夢」が存在するために、良い夢を見ればそれが具現化するのでファンタジックで美しい世界が目の前に広がる。青い蝶が出現する夢は、虫嫌いの私でも美しいと思う。

🦋💙🐝「蝶々も嫌なのであそこに絶対いたくはないけど😂」

あらすじ:子供を事故で失ってしまったマークとジェシー夫妻は悲しみを乗り越えるために養子を迎えることにする。養子となったのは8歳の少年コーディ。彼は利発で穏やかな性格だが睡眠障害を抱えており、眠りたくないという。理由をきくと、眠ると“キャンカーマン”という怪物が現れるので嫌だというのだ。マークとジェシーはそんな彼を安心させて眠りにつかせる。そして居間に戻ると、なんとそこで美しい無数の蝶が舞っていた…という話。キャッチコピー「少年が眠りについた時、恐ろしき悪魔が目を覚ます」。

養子となった不思議な能力を持つコーディがとても可愛い。容姿が端麗で、目がクリクリ、まつげバサバサ。そして性格も健気な良い子。自分の夢の危険性を理解しており、眠らないように必死に頑張る。一方で、過去の事故で心に傷を負った里親が、少年の能力を知ってしまったことにより、堪らず利用して自分を癒そうとする結果になってしまうのは、事情を知っているだけに強くは責められないが、やはり良い光景ではない。

本作の良いところは、コーディが具現化した夢の内容についてちゃんと解明されるところ。事象が解明されるので「なるほど!」とスッキリできる。

ただ、ラストのオチがまるで良い話のようにまとめているけれど、普通に酷くない?と納得がいかなかった。結局、養子を利用して実子を出現させ、自分を癒そうとしていた時と、何ら変わらないことを妻がしているように感じた。誰かのためといいつつ、結局この人は自分の理想や欲望を第一にして行動しているな…と。そしてそれをまるで、ハッピーエンドみたいに描いているところが胸糞で、理由がしっかりとしていて自然な成り行きだと納得できる「コーディの悪夢」よりもよっぽどホラー的な部分だと思った。
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