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センチュリアンの一人旅のレビュー・感想・評価

センチュリアン(1972年製作の映画)
5.0
リチャード・フライシャー監督作。

元LA市警巡査部長という異色の経歴を持つアメリカの作家ジョゼフ・ウォンヴォーによる1971年発表の処女作「センチュリアン」を名匠リチャード・フライシャー監督が映画化したもので、LA市警の警官たちの日常をリアルに見つめた異色の警察ドラマとなっています。

LA市警の新米警官ロイとその相棒でキャリア20年以上のベテラン警官:キルビンスキーの職務と私生活を淡々と見つめたバディポリス物で、パトロール中に遭遇する事案への対処に追われる警官二人の忙しない繰り返しの日々とそれぞれの行く末を悲哀的に描き出しています。

一つの重大事件の捜査に当たるオーソドックスな警察サスペンスとは一線を画した作劇となっていて、LAの治安維持に努める制服警官の日常をリアルに見つめた作品となっています。夫婦喧嘩の仲裁や売春婦の取締り、ゴミ漁り、痴漢のおとり捜査…といった地味な職務を骨身を削ってこなしつつも一瞬の油断に簡単に足元をすくわれる警官の姿を描いて、“好きでなければ続けられない”警官というハイリスクローリターンな職業の因果な有り様を男たちの悲哀と共に浮かび上がらせた骨太な警察ドラマで、主演のステイシー・キーチ&ジョージ・C・スコットがいぶし銀の妙演を魅せています。
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