囚人13号

センチュリアンの囚人13号のレビュー・感想・評価

センチュリアン(1972年製作の映画)
4.8
無関係な人間が死に、社会的に抹殺されるべき者は生き続ける理不尽。

ステイシー・キーチとジョージ・C・スコットがすれ違う瞬間にカメラが被写体を変えるお馴染みのフレーム処理にはじまり、カーアクションもチェイスより車体を盾にしたサスペンス、半身で引き摺られるグロテスクさが素晴らしい。

激情と哀愁の振れ幅に関してスコットの右に出る者はいないし、何より89分時点は普通の映画なら完全に落とし所なのにそこでは終わらせない、あと"14分も残している"という事実がフライシャー故に観るものを緊張させずにおかない。
終盤の車から降りて追跡するシーンの暗闇(悪党が頭上の電灯を叩き割りながら走っていく)は特筆すべきで、またここも悲劇的なエンディングを予感させるが、本当にゴミのようでこの上なく的確な幕引きのため敢えて生かしておく選択に震える。
囚人13号

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