櫻イミト

センチュリアンの櫻イミトのレビュー・感想・評価

センチュリアン(1972年製作の映画)
4.0
ロス市警の現職警官が執筆しベストラーとなった小説『センチュリアン』(1971)の映画化。リチャード・フライシャー監督の「10番街の殺人」(1971)の翌年の作品。音楽クインシー・ジョーンズ。“センチュリアン”とは古代ローマ軍の兵隊“百人隊”のこと。

警察学校を卒業した新人警察官ロイ(ステイシー・キーチ)はロサンゼルスで最も犯罪の多い地域に配属される。コンビを組むのは勤続23年のベテラン警官アンディ(ジョージ・C・スコット)。毎晩のパトロールで警察官の生きがいを学ぶロイだったが、妻ドロシーはすれ違い生活に不満を募らせていく。ある夜、ロイは散弾銃で射たれ重傷を追う。。。

DVDジャケットのイメージからアクション映画を想像していたがそうではなかった。主人公の生き様を通して警察官の過酷な職務をリアルに描き出す人間ドラマだった。

平穏なパトロールが続く中で突然発生する生命の危険がリアル。アクション描写もリアル志向で緊張感が高い。普段の会話が巧く描かれ登場人物の実存感が高いので、彼らのメンタルの危機には心を揺さぶられた。

終盤の展開はかなりヘビーでやるせなさをもたらすので、映画にカタルシスを求める向きには合わそう。それだけに見応えは大きく、自分の人生観についても再考させられた。

多様なフライシャー監督作の中でも、繊細な心情描写が印象的な一本。
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