ゆずきよ

ヒメアノ〜ルのゆずきよのレビュー・感想・評価

ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)
2.5
原作既読。
それ故にわかる。
観たら絶対に沈むやつ。
観賞後の一言。
予想通りです。

物語は、何も無い日々に焦りと嫌気がさす濱田岳が、同僚で同志だと感じていたムロツヨシに気持ちを打ち明ける所から始まる。
ムロツヨシには想い人がいて、カフェ店員の佐津川愛美。ただ佐津川愛美にはストーカーもいた。
というのがざっくりとした冒頭。
前半はラブコメちっくな軽妙な掛け合いやムロツヨシを楽しむ映画。
夜の公園のシーンは不覚にも笑いました。
佐津川愛美がなんかあんまり好きになれない役。なんでこんな設定にしたんだろ。
何処でタイトル出してんのよ、という所から装いは大きく変わりサスペンス色が濃くなる。
とにかく森田剛の狂気が凄い。
原作のキャラクターをイメージしちゃうとイケメン過ぎるけどね。
暴力シーンもリアリティがあって、派手さは無いけど恐ろしさと生々しさが酷い。
展開としては、ハラハラするというよりも嫌な気持ち悪さが勝るかな。
ラストに関しては個人的に納得がいっていない。
最終的に森田剛の狂気が環境によるものだとするのなら、話は変わってくるよ。
濱田岳とのやり取りだって、本来は偶然だから恐ろしいのであって、そこに意味を持たせてしまうのは違うと思うんだ。

私は古谷実先生の作品が好きですが、このヒメアノ〜ルだけはあまり好きになれなかった。
ただそれでもやはり嫌いじゃ無いので、もし原作ファンの方が観るのならという注意点をいくつか。
これは完全に別物です。
原作の森田はある時期にふとその事に気付いたナチュラルサイコパスなシリアルキラーです。
映画の森田はある出来事が原因で気付かぬうちにサイコパスなシリアルキラーへ変貌遂げた男です。
この違いは大きい。
あと個人的に良い緩衝材になっていた安藤さんエピソードはごっそり無くなっています。結末も救いが無いです。
ヒミズもそうだったけど、やっぱり古谷実作品を2時間に収めるのは難しいのかな。
ゆずきよ

ゆずきよ