ginn

ヒメアノ〜ルのginnのネタバレレビュー・内容・結末

ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

森田剛すごい!!
サイコパスとかシリアルキラーの描き方がどうかってところは、好事家によって好みが分かれるところではあると思うんだけど、森田剛がほんとよい役者でびっくりした。

以下追加、長い。箇条書きの感想と疑問。

・見終ってからだと、岡田が初めに森田に声をかける前に「あんまりよく知らない」というのがやっぱクるなー。
岡田は安藤さんが病院行きになった件で裏切りを悔やんでいたけど、ほとぼりが冷めれば絶対同じような自己保身を言い訳しつつ繰り返すタイプだと思う。
ゆかちゃんの経験聞いて願望と違ってて露骨にいじけてみせるとか、あいちゃんの言う通り、ちっちぇーなーちっちぇえ。

・ゆかちゃんのオタサーの姫感というか、清楚ビッチ感もたまらなくいい。
たぶん経験は十人よりもっと多い。いや多くあってくれ。岡田のことは(多少の好意はあるにしろ)ちょうどいい寄生先くらいに捉えててくれ。
カップルになった途端ビールがんがん飲むのも好感度高いぞ!拗らせ童貞に拗ねられて泣いてみせるところなんかもいいぞいいぞ!君もわりと捕食者だ!

・森田に目が行きがちだけど主要登場人物みんなクズよなあ。

・なんでゆかちゃんに森田が執着したのかわからないな…

・作中の他の女に対して、邪魔だと殺す/レイプもするってのをわりとさくさくやってるところからすると、それらを手早くしないで粘着してるゆかちゃんというのは森田にとって何かしら特別な存在なのかしら?
・そしたら高校生のシーンで2秒くらいゆかちゃんに似た感じの子映しとけばいいのでは。
・理由もなしにわけわからんことする「理解できない理不尽な暴力的存在」として森田を描くなら、トリガーか?みたいに思わせるいじめのエピソードとか、犬避けるとかっていう人間性感じさせる部分は逆にいらなくなっちゃうね。
・やっぱりゆかちゃんに粘着する説明はほしいなあ。

・カツアゲしてきた相手はそのあとの説明(ブルーシートとか掘り返した土とかの死んだ描写)がないんで、多分そのままカツアゲされただけだよね。
で、ネカフェで寝るとき3時間パックに切り替えるのとかもそうだけど、森田の「勝てない」とか「どうしようもなさ」とか「諦め」とかの表れなんじゃないかな。
やっぱり森田自身は抽象度の高い「理不尽な暴力的存在」(ノーカントリーのシガーみたいなもの)とは描かれていないな。「日常、自分の隣にいるかもしれない人」だ。


ひとつ疑問。森田は「高校卒業直前の川島」から「和草カップル」までの間に殺人はしてないんだろうか?

<していないと考えられる根拠>
・岡田を殺そうとしたとき、一人でやろうとはせずにまず和草を誘っている。
山に埋めようとするのは川島のときと同じ手順(=和草の協力を求める)。
和草の動揺から見て殺人の共犯を担わされそうになるのは川島以来初めて。

・警察が、和草たちが殺されたのは森田のアパートという。つまりあのアパートは本人の名義で借りている。
森田は和草たちを殺したあと、自分の居場所を殺人をするたび転々と変えている上、夫婦を殺し一軒家を乗っ取る(食事:カレー、睡眠:パジャマ)ことも作中ではする。家の乗っ取りを最初のアパートでもした、つまり今までにも通り魔というか、押し込み強盗的な衝動的な殺人をしていて居場所を転々としてきたとするなら、あのアパートが森田の本名で契約されているのはおかしい。

<していると考えられる根拠>
前提1・殺害後の自慰行為からして、川島殺害で森田は精神的な一線を越えたと見るべき
前提2・森田と岡田は30歳前後ではないか(ゆかちゃんとの年齢差、岡田の将来への閉塞感などから)
前提3・森田は自分の欲求のために無造作に人を害する(レイプ、殺人など)。その際に心理的葛藤なし。

→・18歳で殺人を犯してから10年以上、排除したいシーンに森田が出くわさないと考えるのは不自然

でも、<している>の根拠はこれだけなんだよなあ。
死体の始末のぞんざいさや幻聴なんかの描写は、高校から長い時間が経っていることと、それに伴って重ねてきた殺人の多さを語っていると思うんだけど、劇中描写では川島→和草の間に殺人はなかったと見る方が自然のような…うううん。

反社会性はじわじわとずっとあったけど、和草殺しで箍が外れたってことなのかな。
そうすると森田-岡田の友人関係だけじゃなくて、森田-和草の友人関係もしっかり考える必要があるような…
殺したいほど憎んでいた相手を一緒に殺したトモダチに殺意を向けられた(そして殺した)のが箍が外れる原因?
でもそれだと人間性の描写濃くなりすぎないか?
そもそも和草の扱い軽すぎないか?
うーーーんわからん。
ginn

ginn