いち麦

マッドタウンのいち麦のレビュー・感想・評価

マッドタウン(2016年製作の映画)
4.0
ジム・キャリー出演作を追って鑑賞。台詞が極めて少なく、限られた手がかりを元に考えながら物語を追っていく好みなタイプの作品。砂漠と乾燥地帯を舞台に現代のアメリカと地続きな世界を感じさせるサバイバル・スリラー。まずは、スタイリッシュな映像と楽曲の使い方に乗せられ、社会から“規格外品”として荒野に放り出された娘が必死で生き抜こうとする逞しさに圧倒される。やがて、生きた人間から手足を切断して食糧にしている者たちの住む処“ブリッジ”と、ドラッグに塗れた者たちの退廃的な街“コンフォート”の対比が次第に浮かび上がってくる。この2つの世界は近未来に人類が辿り着く二極として描かれているのかもしれないと思えた。それらの象徴としてのジェイソン・モモア vs. キアヌ・リーヴスの存在感。肉食 vs. 小麦食(パスタ)。手足すら切断された娘が最後に見せた選択の理由を考え、思い巡らさずにはいられない。また、2つの世界を行き交う謎の浮浪者をジム・キャリーが台詞なしでコミカル仄かに好演。コンフォートのイカれ野郎を演じたジョヴァンニ・リビシも印象深い。
娘アーレンがどのように食料や金を得ていたかは見ている最中ずっと気になった。モモア演じるマイアミ・マンが何故コンフォートを忌み避けるのかがもっと深く切り込まれていたら尚よかったかも知れない。
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