DomDomu

サウスポーのDomDomuのレビュー・感想・評価

サウスポー(2015年製作の映画)
5.0
王道のストーリーを実力のある役者を使って手堅く仕上げた傑作。

再生と家族愛というありきたりな題材でありながら、主役のジェイク・ギレンホールと娘役のウーナ・ローレンスの熱演が観客の心にしっかりと感動を届けてくれる。

ボクシングもとい格闘技は互いを傷つけあうスポーツであり、大仰な言い方をすれば「戦争」であり「殺し合い」でもあるリスクの高いスポーツだ。
そんな殺伐とした世界でしのぎを削り、鮮血を流しながら果敢に相手と戦うボクサー役をギレンホールは妻の死や娘との離別に揺れる感情の機微も交え、一人の父として再生して行く姿を見事に演じ切っていた。

感動させてくれる作品ではあるが、過度に訴えかけるような演出は抑えられており、あくまでも役者の演技を尊重し、役者の力で引っ張っていくという手法も功を奏していたように思う。
ラスベガスでの試合のシーンはケーブルテレビ局のHBOに協力を依頼し、実際のボクシング中継と同じように撮影されているためなかなかの臨場感を堪能できる。

作中で流れるエミネムの「Phenomenal」とエンディングで流れる「King Never Die」ラストで流れるフランク・オーシャンの「Wise Man」も作品を後押しする良質な曲として耳に残ること請け合い。

「クリード」や「ウォーリアー」の系譜に並ぶ胸も目頭も熱くさせてくれるボクシング映画であり人間ドラマだった。
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