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二ツ星の料理人のmatchypotterのレビュー・感想・評価

二ツ星の料理人(2015年製作の映画)
3.7
《料理の映画》、Vol.19。

今回の企画、これにてゴール。
最後はなかなか破滅的な“極み”の《料理の映画》で締めくくり。
というか、そう言う映画だと知らなかったと言うのが正しいけど。

過去にミシュラン“2つ星”を獲った実績のあるシェフ。しかし、その当時の有頂天でハメを外し過ぎてものすごい転落。転落というか滑落、暴落。信じられないレベルで落ちぶれてる。

しかし、その彼が再び立ち上がる、、、“3つ星”を獲るために。

落ちぶれている間に腕が落ちる。
料理の方法も時代に取り残され古くなる。
かつての傍若無人ぶりのツケが回って仲間の信頼得られない。
莫大な借金と暴力的な借金取りに追われる。

それでも彼はまた前に踏み出す。
上手くいかないことだらけでも、自分の道はそれしかないと突き進む。

ただこの映画は、この企画の最後にして、なかなか厳しい現実を突きつけてくる映画だった。
“頑張れば何とかなる”、みたいなキレイ事は一切ない。

“3つ星”を獲ることは、誰でも頑張れば何となるものでもない。
ましてや“曰く付きのシェフ”として色目で見られたり、自分のせいとは言え公私に渡って敵も多い。

さらに自分にも周りにもストイック過ぎ。妥協もせず、気に入らなければ恫喝。
やはりミシュランを獲りにいく世界は、美味しいご飯食べておいしい、ほっこり〜とはワケが違う。

職人が匠の技を極めるかの如くの至高の道のり。
チームワークがあれば仲良く明るく元気に乗り切る道ではない。

かつてはそれを追求し道を進めた結果、自分のキャリアも、周りもすべてぶち壊し転落した彼が、再び掴みかけたチャンスに、また同じ道に立った彼が見た景色は、、、。

何かただのサクセスストーリーでもなく、かなり真に迫る。
殺伐として情熱的でドラマチックな、まさにコース料理のような厨房の様相が強烈。

世の中そんなに甘くないが、だからと言って妥協して適度に希望を叶える話でもない。
厳しかろうが、一度は自分で閉した道だろうが、やると決めたら何度でも。

失敗から多くを学ぶ。
人生もトライ&エラーの繰り返し。やりたいことならどんな苦難があれどもめげずにいけば光は差す。

《料理の映画》、これにて終了。
またちょこちょこ観ることになるだろう。観るたびにお腹減る。空腹状態で観るとイライラしてくることもあるので要注意なのがこの企画。

いろんな映画があったが料理とはその料理の味のみにあらず。
料理を作る人の思い、料理にかける手間暇、愛情。そして、料理を囲む人々のドラマ。
いろんな人を映し出す、、、それが“料理”。

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TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
https://community.discas.net/announcements/ib1wyncr43idknqm
別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
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