雅治

東京PRウーマンの雅治のレビュー・感想・評価

東京PRウーマン(2015年製作の映画)
1.3
1時間ドラマでTVでやっとけばいいだけの内容であり、わざわざ映画にする意味なし。っていうかBSのTVドラマなのか?内容も薄ぺっらいしあまりに単純すぎる。

そもそも「ドジな女の子が仕事で失敗しながらもたくましく成長していく」なんて話は何十年も前からありました。そんな安っぽい話を何故今さら映画に?と思いますが、この映画の舞台になっているPR会社ってのが実在の会社。「うちの会社はこんなに素晴らしい所ですよ」みたいな意味も込めた、文字通りの「PR映画」なんですが・・・・色々な所がイメージダウンになりかねないトンデモ映画。

主人公の玲奈ちゃんは、合コンで相手の男にゲロをぶちまけておきながらも、見栄を張って「PR会社に勤めてます」なんて言った勢いで銀行を辞め、PR会社(これが実在の会社)の面接を受ける事に。

ところがこの面接が酷い。「彼氏は居るの?」といったセクハラから(「変な意味じゃないんだよ」とか訳の分からない言い訳までしながらセクハラする悪質なもの)、やたらと上から威圧する圧迫面接まで、「ひでぇ会社だな」と思わせるのに十分なシーンです。まあ、これは映画的な演出でフィクションだから大丈夫なんでしょう。だってガチだったら「面接終わって部屋を出た瞬間にコケたのが何億何千万分の一だから採用」というトンデモな理由は有り得ませんからね。結局「山本美月の容姿だから入れた」と言う事だと割り切って先に進みましょう。

そして新人の顔見せと言う事でTBSテレビに行きます。その前に「上から上司」の草壁(圧迫面接してた人ね)にキレイな服を買わせられ、更にキツい香水を吹きかけられてTBSに入ると、溜まってたオッサンたちが急にwktkしてきます。
そこでふわ~っと髪をかき上げちゃった日にはオッサン達はメロメロです。。。。って、おい!!BS-TBSも製作に入ってるのに何だこのポンコツ社員は!自虐ネタなのか?バカなのか??

そんな新入りですが、表参道に進出してきた「docpopcorn」のPRの会議にただ居ただけと思われた玲奈が、仕事中にも関わらずLINEに送られてきたラーメン食べ歩き(送り主は彼氏)からヒントを得て、いい提案をしてクライアントに気に入られます。ってか、彼氏って真昼間から何やってんだ?そんな手柄を挙げても、草壁は「認めたわけじゃ無い。コーヒー運べ!」とあくまでもドSを貫きます。そんな玲奈ちゃんの案で、ポップコーンは意外とアッサリと大ヒット。お店からは両腕一杯にポッポコーンを抱えたお兄ちゃんが出てきたりして(んなアホな!)大変な繁盛です。

そしたら玲奈ちゃんの所にも取材が来たりして、更にプライベートでも、合コンでゲロぶちまけたイケメン社長とのデートをきっかけにラーメン食べ歩き&LINEレポに余念がない彼氏ときっぱりと別れちゃいます。

そんなこんなで仕事では、オーディションサイトの「スターバンク」のPRなどのビギナーズラックなヒットを飛ばす玲奈ちゃんですが、イベントのゲストに呼んだLiLiCoとトラブルになります。まあ、とにかくこのシーンは凄いですよ。よくもLiLiCoはこんなクソ役引き受けたなっていう位クソ意意地の悪い女を演じてます。

登場こそスローモーションで大女優扱いだけど、「私が周りの為に動くんじゃない。周りが私の為に動くの」と言い切るLiLiCoを控室に案内すると、そのドアの張り紙が「LiLiKo様」ってなっててね、「C」じゃなく「K」になってる事がけしからんと憤慨してしまいます。自分にとってどれだけ「C」が大事かとか御託を並べて息巻いてるけど、まあ小っちゃい人間ですよ。そんな説教をネチネチしながらも「困らせたくて言ってる訳じゃ無い」なんていうフォローを入れますが、明らかに玲奈ちゃんは困りまくってます。

結局、この場は草壁が土下座をして、何か貢物を献上して機嫌を回復して何とかなりました。すると玲奈ちゃんに対しては「辞めろ!」とすごみます。今度はパワハラですか。凄いブラック企業ですね。中途で入ったばかりの女の子に暴言三昧です。それがショックで玲奈ちゃんは会社を休んじゃいます。そのままメンタル壊したり自殺でもしたら草壁どころかこの会社が正真正銘ブラック認定になっちゃう所です。

傷付いて家で悶々としていた玲奈ちゃんですが、思い立ってイケメン社長の会社に行くと人気の無いガラーンとしたオフィスを目の当たりにします。どうやらこの社長、ヒットを目論んたビーサンが売れずに在庫の山。それで会社が沈没寸前で落ち込んでます。ホントはこんな有様なのに、玲奈ちゃんには見栄張って洒落たレストランでプレゼントなんかしてたって事を知って、「そんな・・・・」とガックリひざまずく姿はまさに _| ̄|○ の形です。

そんな姿を見られたくない社長は玲奈ちゃんを追い返しますが、そんな玲奈ちゃんに何故か元カレからまたLINE。その画像の隅にジュエリーの看板を見つけた玲奈ちゃんはそのまま会社に戻ってビーサンをPRする企画に打ち込みます。ってか、そこらへんの仕事の契約関係はど-なってんだ?たかが一社員の発案、しかも対象の会社は倒産寸前状態みたいだけど、それでもなぜか動き始めちゃう。何か軽いっすね。

それでも草壁は相変わらず「辞めろ!」「覚悟はあるのか!?」とすごむばかり。だからさあ、まだ中途で入ったばっかりの女の子に覚悟覚悟ってうるせーよ!とイライラしてきます。でも、今度は玲奈ちゃんが土下座してお願いすると「力を合わせれば何とかなる」と前言撤回です。だからさあ、その「力を合わせる」という工数はどっから出るんだよ・・・・・まあ、最後には社長が「誰かを助けたい。誰かの為になりたい」というお人好しっぷりを発揮したので、赤字プロジェクト覚悟でやったんでしょう。

そして玲奈ちゃんは徹夜して頑張ったり、「新商品にはインフルエンザ効果が必要だ」みたいな作戦も絡めて発表会当日何をPRしたかってーと、たかがビーサンに各月の誕生石をあしらった10万円くらいの一品。「アメリカのセレブの間でも流行ってる」みたいな事言ってたけど、誰がビーサンに10万円の宝石付けて歩くんだよ!社内のギャルをモデルに写真撮ってたけど、ターゲットはそういう所じゃねーだろと爆笑気分になると、何故か落ち込んでた社長が颯爽と登場。それで前途洋洋な感じでお話は終わります。

どうですか?上映時間83分という短尺ですが、スカっと突っ込めてスカっと鼻で笑えました。

ホントにこんな映画作って公開しちゃって、「vector」は大丈夫なんでしょうか?でも、この映画のおかげで、ネットで扱われているヒット商品情報なんて所詮「作られたもの」という事が分かります。

ひたすら山本美月だけを見るだけの映画。
雅治

雅治