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雨にゆれる女のmのレビュー・感想・評価

雨にゆれる女(2015年製作の映画)
4.7
久しぶりに出会った、『クセはあるけど誰が何と言おうが俺は好き』タイプの映画(「スイートリトルライズ」「東京公園」などをこのカテゴリに入れている)。

野性味を寡黙さで抑えている青木崇高は個人的にはこれまでで一番良かった。

黙っている大野いとは冷たく気怠げで野良猫のような存在感で良い。特に眼が良い。クールで頑なで哀愁のある眼。今時では逆に珍しい発声・台詞回しの不器用さも味がある。
面白いもので、演技力がある役者だけが良い役者という訳ではない。こういう不器用だけど特色のある役者って貴重だと思うんです。

撮影も控えめな音楽もこの映画に合っている。


愚直にやるべき事を無駄なく淡々とやる、ストイックで静謐な映画。決してアートぶった表層的な代物ではなく、世界の片隅でひっそりと生きている男と女の愛と罪と罰のドラマが程良い湿り気を帯びてしっかりと紡がれている。嬉しい想定外だった。
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